2016年に刊行された古い本です。
もう古本以外で手に入れるのはむずかしいかもしれません。
著者はジュシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・二コデマスのThe Minimalistsというユニットを名乗るふたり。
以前紹介した『minimalism 30歳から始めるミニマル・ライフ』も書いています。
関連記事:ザ・ミニマリスツの『minimalism 30歳から始めるミニマル・ライフ』を読みました。熱い気持ちに溢れたミニマリストのバイブル
前著がブログ記事のまとめだとすると、こっちは小説にも似たドキュメント風にまとめられています。
なので、主に文筆をライフワークとするジョシュアのほうが書いていますね。
ミニマリストになったことによって、人生が好転する成功物語…だけじゃない
多くの本は、
- 苦労があって
- 努力があって
- 成功する
という、いわゆるV字ストーリーになっていますよね。
ご多分もれず、『あるミニマリストの物語』も同じです。
物質的には多くを手に入れながらも、どこか満たされない日々を送る(苦労)ジョシュアがミニマリストの存在をしり、少しずつとりいれながら(努力)、やがて仕事をやめて充実した生活(成功)を送るようになるストーリー。
ところが成功したあとについてもだいぶ紙面を割いています。
特に「10.ソローとユナボマー、バーに行く」では、成功後の少なくない戸惑いが語られています。
自身のミッションに集中するために田舎町に引っ越したふたり。
しかしジョシュアはそこの地元のバーで少なくない孤独を感じているように見えます。
物語調だから見えてくる登場人物のつぶさな心の変化は、前著にはない特徴だと思います。
The Minimalistsが好きな理由
有名なミニマリストは数多くいれど、わたしはどうも彼らが好きなんですよね。
それはたぶん、彼らが本質的にブロガーだからだと思います。
現在はYouTubeやPodcast、SNSなどさまざまなメディアを駆使して発信するふたりですが、ブレイクしたきっかけはブログ。
本の中で、友人のコリンとの会話にあるとおり、ミニマリストになりたての彼らはまだブログのことがよくわかっていませんでした。
そこからあれよあれよと人気ブログになっていくさまは、2010年代のインターネットの空気感がよく現れているように思います。
「ミニマリスト」を語る上でインターネットは欠かせないものでしょう。
っというのも、既存のマスメディアが「モノを買うな、減らせ」と言うわけないから(笑)
ミニマリストのムーブメントは、間違いなく市井の人がインターネットをつかって徐々に広げていった、ボトムアップのムーブメントだと思います。
市民による新しいメディア=インターネットと、市民だからこその新しいコンテンツ=ミニマリストの勢いがあった当時は、とてもおもしろい時代でしたね。
すべての人がインターネット上でビジネスする現代においては、そう無邪気にインターネットやミニマリストを「市民による」とは言えなくなりました。
だから今になって彼らの本を読むと、ある種の「初期衝動」が感じられて、こっちまでやる気をもらえる気がするんですね。
そしてまた2010年代を駆け抜けてブロガーになっていたのはわたしも同じ。
その意味で、どうも共感せずにはいられません。
そしてここに来て、彼らThe Minimalistsの物語がNetflixで映像化されたりと、ミニマリストは一過性のブームではなく、ライフスタイルとして定着してきたように思います。
邦題「今求められるミニマリズム」
モノをつくって、それを貨幣をつうじてシェアしていくのは、人間の本質のいち部分でしょう。
しかしその本能にも似た行動が行き過ぎると、じぶんの人生の歯車が狂いだすのも確か。
だからミニマリズムの需要はなくならないのではないでしょうか。
良い、悪いの話ではなく、風邪を引いたとき風邪薬を飲むのと同じように、モノによって身動きがとれないときにミニマリズムを摂取する。
これからも、わたしはそうしていきたいと思います。
他にもある!おすすめミニマリスト本まとめ
その他にもミニマリストが書いた本、ミニマリズムを学べる本をまとめてあります。
ミニマリスト入門書から、マニアックなドキュメントまで。
「ミニマリストなりたい!」
「いろんなミニマリスト参考にしたい!」
と考えている人は、ぜひごらんください。
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