コロナウィルスが世界中で蔓延するなか、比較的に感染を抑え込んでいる台湾のITデジタル大臣として話題になったオードーリー・タンさんの本。
本のタイトルのとおり、デジタル技術をこの社会でどのように活用すべきかを語った内容です。
自身の生い立ちを絡めながら、特に政治と民主主義においてデジタル技術やAIの考え方や活かし方を教えてくれます。
正直、わたしは読んでいてわからない、難しい部分も多かったです。
オードリー・タンさんはIQ180の天才。
15歳で起業、Appleでsiriの開発に携わるなどその経歴もすさまじい。
「14歳でウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』を読破した」なんてエピソードが出てくると「はー!住む世界違うじゃんw」と笑っちゃいますよね。
しかし、それでもわたしはこの本を読まなければいけなかったのです…。
民主主義とデジタル技術に希望はあるのか?
わたしはブログが好きです。
だからITとかデジタルと言われる技術も基本的に好きなんですね。
ところが近年の特に政治に関する事柄を見ると「ITって本当に人を幸せにするのかな?」と疑問を持たざるを得ません。
SNSやYouTubeは陰謀論の温床になり、アメリカでは大きな社会の分断が生まれました。
わたしはある特定の人物が悪者であり、その人を打ち倒せば全てが解決するとは思いません。
SNSという環境が悪意を集約して拡散するシステムを持っていると思います。
さらには「デジタルレーニン主義」などと呼ばれる政治体制も登場し、デジタル技術によって人を管理する、ひいては人権を損なう社会へ向かう国もでてきました。
この現状はITを愛するわたしに根本的な問題を問いかけました。
このままブログを書いていて良いのだろうか?
わたしがブログを書くことが人々の分断を煽っていないだろうか?
大袈裟ですが、これで生計を立てている身からすると考えざるを得ません。
だからデジタルが世界を幸せにするという道筋を知りたかった。
その時、台湾とオードーリー・タンさんはデジタルを利用して民主主義をグレードアップし、コロナ対策も上手くいっているというニュースを見たのです。
たしかにこの本に書かれている内容は希望が持てるものでした。
特にデジタル民主主義のありかたとして、積極的にマイノリティーの声を拾い上げていく姿勢に好感がもてました。
台湾ではマイノリティーの声を拾い上げるためにデジタル技術を使います。
「vTaiwan」や「JOIN」という市民が参加して政策アイディアを議論できるプラットフォームを作成。
アイディアに対して5,000人の署名が集まると、国をそれについて議論しなければいけないというルールです。
5,000人という数字が絶妙で、マジョリティが関心を持たない事柄でも、マイノリティーとそれに賛同する人たちがいれば達成できる数字。
でもだからといって、デジタル空間以外で5,000人の署名を集めるのは大変ですよね。
小さな声を拾い上げるのは、まさにデジタルならでは。
デジタル+民主主義の強みに思えます。
本書ではこのようなデジタル民主主義の事例やその社会でどのように生きるべきかが語られています。
これはわたしのようにデジタルを生業にしている人はもちろん、小さなお子さんがいられる親御さんにも読んで欲しい。
民主的で聡明な国である台湾が隣国であることは日本にとってほんとうにありがたいことです。
そして災害支援などを通じて台湾と日本は固い友情を結んでいます。
子どもたちが生きる未来においてますます台湾との関係は重要になっていくでしょう。
興味をもったらぜひ読んでみて欲しいと思います。
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