アダム・オルター著の『僕らはそれに抵抗できない』を読みました。
ずばり「スマホ依存」に関する本です。
スマホに時間を奪われている!
やめたくてもやめられない!
そう薄々気づいている人は多いと思います。
そのやめられないメカニズムを学術的なエビデンスを用いて明らかにしていこうとするのが本書の趣旨になります。
スマホ依存を解析していく
本書は三部構成となっており、第一部ではスマホ依存の他に代表的な依存症をとりあげながら、依存症について詳しく説明しています。
結果として、アルコールやタバコなどの「物質依存」と、スマホなどの「行動依存」は何ら変わりなく、同じく依存症になり得ると主張しています。
第二部では具体的にスマホやSNS、ソーシャルベームのどういった部分が人を依存させるのか?その具体的な演出、インターフェースについて説明しています。
例えば、当たり前のようにSNSに実装されている「いいね!」ボタン。
それが人間の本能のどんな部分にどのように作用しているから、依存的になるのか? さまざまな学術的研究、実験からその理由を説明してくれています。
第三部では、いよいよ依存症から離脱するアイディアを披露してくれます。
それは主にこれまで依存を生み出してきたアイディアを「適切な量」を用いることで、良い行動へと依存しようとするアプローチです。
この本を読んでも、きっとスマホ依存はやめられない
おそらくこの本を読もうと考えている人は、スマホを依存をやめたいと思って手に取るのではないでしょうか?
または子どもや家族、恋人など大切な人にスマホ依存を辞めさせようとして。
ただ個人的にはこの本だけではスマホ依存を辞めるに至らないと思います。
っというのも、本書ではテクノロジーそのものを悪だと断罪しません。
結果的に本書で示されるスマホ依存脱出法は、テクノロジーの良い面をうまく引き出し、折り合いをつけていこうというアプローチに留まります。
それは結局、どうにかこうにかうまくやっていこうよ…!という主張に見えます。
ところが現実的には本書のタイトルが示す通り、「抵抗できない」ものです。
そしてわたしたちユーザーが抵抗すると、スマホやアプリを提供しているのが営利企業である限り、さらに強力な依存スイッチを開発してくるに違いありません。
よって、本書を読んでも、永遠に終わらない依存症との戦いが想像されました。
「こうすれば依存症は辞められる!」という決定的な処方箋は本書では示されておらず、おそらくまだ見つかってすらいないのでしょう。
もちろん、依存に立ち向かうアイディアは豊富に紹介されていますし、スマホ依存で人生を失った人々の実例は恐ろしく、その恐怖を感じるだけでも依存脱出の効果がありそうです。
ただそれ以上に、スマホの依存パワーの方が強力だろうと、わたし自身が日々スマホを使うユーザーとして実感しています。
ここで2つのアプローチが考えられるでしょう。
- スマホとの「折り合いのつけ方」の精度を高める
- スマホを完全に手放す
自然に考えて、スマホを手放せる人はそう多くないと思います。
今読んでいるこの記事だって、スマホがなければ読めない人が多いのではないでしょうか。
よって、やはり本書で示されたような「折り合い」をつけるしかないでしょう。
意地悪な批評を展開しましたが、その主張は結局は間違っていないと思います。
ですからスマホ依存に興味がある人は本書にとどまらずさらに関連書籍を読んでみることをおすすめします。
そうすることで、スマホの危険性をより理解でき、スマホ依存脱出のライフサイクルをより強く自分にインストールできるはずです。
おすすめの関連書籍は『デジタル・ミニマリスト』です。
『僕らはそれに抵抗できない』よりもエッセイ風の内容で、翻訳本が苦手な人でも読みやすいと思います。
『スマホを捨てたいこどもたち』もぜひ読んでみて欲しい本です。
もうひとつ『「ついやってしまう」体験のつくりかた』という本もおすすめです。
この文脈で並べてしまうと、この本はまさに「依存症のつくりかた」に思えます。
しかし先ほどから言っているように「折り合いをつける」のが現実的な解。
ですから、作る人の立場からそのメカニズムを知ることで、新しいデバイスやサービスが発売された時に「あ、これは依存スイッチになるな」「このサービスは依存しづらくて良心的だ」といったような批評眼を養うことができます。
『ぼくらはそれに抵抗できない』でもスーパーマリオブラザーズの例が出てきますが、『「ついやってしまう」体験の作り方』でも登場します。
テクノロジーの正と負の両面からマリオを眺めるというのも、なかなか有意義なことだと思います。
何より、実は少なくない人々が無意識に「依存症を作る側」に立っているのです。
例えばわたし自身、ブロガーとして日々記事を書いていますが、それが誰かにのスマホ依存に繋がっていると自己批判することができるでしょう。(ブーメラン!)
あなたはSNSをやっていますか?
意味もなく友人やフォロワーの意識を奪おうと、つい「盛って」発信していませんか?
わたしたちがユーザーがフェイスブックやツイッター、インスタグラムなどその場に投稿しなければ、そのサービスは継続できないのです。
わたしたちは傍観者であると同時に当事者でもあるわけです。
まさか自分が知らず知らずに依存症の片棒を担いていでいる。
実はそれがいちばん恐ろしいことのように思います。
ですから、 受け取る側としてのリテラシー=依存しないための対策 発信する側としてのマナー=依存させないための良心 その両面から改善していくことが求められていると思います。
その意味でも、ぜひ紹介した関連書籍を読んでみることをおすすめします。
以上、『僕らはそれに抵抗できない』の紹介でした。
参考になったらうれしいです!
その他のおすすめ本はこちら↓
スマホの代わりにこっちを読んでください(笑)