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川上卓也さんの『貧乏という生き方』を読みました!貧乏のその先で選ぶこと

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「貧乏という生き方」の表紙

タイトルそのまま、著者の貧乏暮らしを紹介する本です。

 

この本は2010年の刊行ですが、改題されて再発売されたもの。

 

もともとは「貧乏神髄」というタイトルで、なんと2002年に刊行されています。

 

今からおよそ20年前の本にも関わらず、その内容は現代でもまったくもって通用すると思います。

 

しかも著者の川上卓也さんは執筆当時20代だったとか!

 

読んでみるとわかりますが、20代にしてこの境地に至るとは恐れ入ります。

なぜ貧乏という生き方を選ぶのか

この本の魅力はこの部分に集約されているな、と思いました。

消費されない自分とは、消費しない自分でもあります。

すなわち、消費は生きるための最低限の衣食住にとどめることで、消失してしまう力も最小限にとどめることができるのです。

残った力は、分散させるのではなく、一点に集中して放つ。 

貧乏とは、財力だけでなく、自分のもてるすべての力を、定めた方向へ集約させるための術なのです。−貧乏へと降りていく道のり

ここはミニマリストシンプルライフに興味がある人も共感する一文ではないでしょうか?

 

貧乏でもミニマリストでもシンプルライフでも、またその他の名前のつかないライフスタイルでもそうですが、魅力的な暮らしをしている人はみんなこの

 

自分のもてるすべての力を、定めた方向へ集約させる

 

のが上手だと思います。

 

逆に言うと、ここをしっかりしないと貧乏なり断捨離なりが目的化して原理主義になってしまい、具合が悪い。

 

大事なのは「コスパ」の「コ」より、「パ」の部分。

 

貧乏もミニマリストも、ただのコストを減らす技術に思われがちです。

 

でも本当に大切なのは、その先でどんなパフォーマンスをしたいか?ということ。

 

川上さんは本の中で「貧乏くさい」と「貧乏」を明確に分けて考えています。

 

「貧乏くさい」はまさにパフォーマンスをないがしろにした暮らし。

 

100均は安いからと、なんでかんでも無批判で買ってしまうこと。

 

コンビニ食をありがたがって食べ続けてしまうこと。

 

それはいっけんして時間やお金のコストカットできてお得に見えるけど、先々のパフォーマンスを考えたら…?

 

決して良くないだろうと指摘しています。

 

一方で、貧乏でありながらも頑なにタバコを吸おうとする川上さん(笑)

 

2021年の今は、刊行当時よりもさらに嫌煙が定着しており、貧乏とタバコはなかなか相容れないものでしょう。

 

タバコに関する記述は今となっては、あまり役に立たない部分かもしれません。

 

でも、どんなパフォーマンスを選ぶかが、その人の人間らしさであり、おもしろさ。

 

そして選んだものは、よっぽでなければ、おいそれと他人が否定できるものではないと思います。

 

コストの切り詰め方はどんなスタイルを標榜しようとも誰しもが似通ってきますよね。

 

家賃とか固定費を抑えるのが効果的だし、必要な分を必要な分だけ消費すればよいだけ。

 

今だったらスマホを上手に使おうとか。

 

でもパフォーマンスの上げ方は千差万別です。

 

だからおもしろい。

 

わたしは今、あんまりコストカットに興味がないんですよね。

 

YouTubeでお金の知識をしいれて、勝った気になる。

 

そんな人たちの態度にちょっと飽き飽きしています。

 

画一的な「正解」ではなく、自らの意思であえて「不正解」や「不自由」、「不便」や「不利益」にズレていく瞬間がとても人間らしくおもしろい。

 

それでいうと、この本はたくさんズレていく瞬間があって、とてもおもしろかったですね。

 

きっとこの本を読む人は節約術=コストの面を期待して読み始めると思います。

 

けれど、ぜひ節約したその先で何をしたいか=パフォーマンスに着目して読んでみてください。

 

なおいっそう楽しく読めると思います。

 

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