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オリバー・バークマン著『限りある時間の使い方』書評。諦めることの大切さを学ぶ

限りある時間の使い方の表紙

どうすれば納得のいく時間の使い方ができるのだろう?

 

この本は、この問いに答えていく本です。

 

有限な人生の時間をうまく使いたいと思うのは人間の普遍的な欲求ですから、世間には「タイムマネージメント」や「ライフハック」に溢れています。

 

この本も、そのジャンルの一冊ではあるけれど、過去の本と明確にちがう主張をもっています。

 

それは「タイムマネージメントを駆使しても、いっこうに時間は増えない」ということ。

 

同じ本棚に並びながらも、隣に並ぶ本たちにカウンターパンチを喰らわせる。

 

そんな挑戦的な内容になっています。

哲学を持つ、磨く

この本では巻末に付録として「有限性を受け入れるための10のツール」が記載されています。

 

すべて読み飛ばして、その付録だけをみれば、あっけないくらいふつうの「タイムマネージメント」「ライフハック」です。

 

そう、けっきょくやることは既存の本で紹介されていることと、それほど変わらないと思います。

 

それなりの「ライフハック好き」なら既視感をもって読めてしまう部分でしょう。

 

しかし翻って内容をみると、そこに書いてあることは実に哲学的

 

まず「タイムマネージメント」が前提とする、時間を”使う”という概念から疑ってかかります。

 

そもそも時間とは、人と一心同体の存在で、使うも何も、ただいっしょに流れていくだけだと。

 

そしてまた「タイムマネージメント」は無言で「未来」がくることを前提としていることにも批判の目を向けます。

 

厳然たる事実として、未来がくる保証はありませんよね。

 

それなのに「タイムマネージメント」は、それを駆使すれば駆使するほど、人生の喜びを先送りすることになり、実は「今を味わう」邪魔になっていると指摘します。

 

この本に称賛を寄せているカル・ニューポートの『デジタル・ミニマリスト』でも、デジタル技術に対して、確固たる哲学を持って挑むことの必要性を主張していますよね。

 

それは「タスク」に対しても同じでしょう。

 

この現代において、「タスク」はほぼ無限のように舞い込んできます。(しかも手元に!)

 

どれだけ仕分け作業=タイムマネージメントが上手になっても、タスクが無限である限り、それは焼け石に水です。

 

つまりタスクに対して「必要・不必要」「好き・嫌い」あるいは「大切・大切でない」といった基準でもって、タスクそのものを捨てていく、諦めていくことが必要になる。

 

その断捨離の判断基準になるのが、まさに哲学ということ。

 

しかし哲学とは、一朝一夕で身につくものではありません。

 

行動や挑戦、失敗をへて徐々に磨かれていくものでしょう。

 

それこそデジタル技術がかってに運んでくる「情報」や「タスク」を半自動的に処理していくだけでは、決して磨かれない。

 

ただこなしていくだけのその習慣に、どこかでクイを打つことができなけば、一方的に情報とタスクを浴びるだけであっという間に人生が過ぎ去ってしまう。

 

この本を1冊読み切ることは、もしかしたらその負のループを断ち切るクイになり得るのかもしれません。

諦めるの語源

一節によると「諦める」の語源は「明らかに見る」だそうです。

 

わたしはこの本を読んでそれを思い出しました。

 

この本は一貫して「タイムマネージメント」に通底する「無限への渇望」を否定し、有限であることを認めようと言います。

 

そう、諦めよう、と。

 

諦めることで、明らかに見えてくる。

 

見えてくるのは、絶望も悲しみもあれど、おそらく希望や喜びも。

 

30代も中盤になって、いろいろと諦めることが必要になってきたわたしにちょうど良い本だったように思います。

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今日のあとがき

6月5日

なんか最近、悩みとか不安がすこし軽くなったかも?やっぱり「微妙が状態」がいちばんツライものなのかな〜。

  

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