Amazonプライム・ビデオで『幸せの絵の具 愛を描く人』という映画を見ました。
カナダで愛される画家モード・ルイスの半生を描いた物語です。
ストーリーはいわゆるラブストーリーなのですが、他のどの物語とも似ていなく、なんだか新鮮な気持ちでみることができました。
ふたりの出会い
主人公のモード・ルイスと旦那となるエベレットの出会いは独特なものです。
ふつうの恋愛でもなく、かといってお見合いでもない。
しいて言えば職場恋愛でしょうか?
最初、ふたりは「家政婦と雇い主」という関係でした。
当然、エベレットが雇い主なんですが、モード・ルイスの才能が開花するとともに徐々に主従関係が逆転していく様がユニークです。
ルイスは家政婦としてエベレットを支える役割から、画家として支えられる立場へ変わっていきます。
はぐれ者だから、ユニークになれた
ルイスは幼い頃からリウマチを雇っており、一族のお荷物的存在。
一方のエベレットも孤児院育ちで学がなく、漁師でありながらもいろいろな仕事をしながら、その日暮らしをしています。
わたしはそんなふたりだからこそ、ルイスが才能を開花させることができたのではないかと思います。
ふたりはいわば「はぐれ者」でした。
この社会に馴染めず、生きづらさと孤独を抱えて生きてきた。
でもだからこそ、社会の常識に縛られることもなかったのだと思います。
時は1900年代。
今よりもっと男尊女卑が当たり前で、夫婦のあり方も固定されていたに違いありません。
しかし、エベレットはルイスの才能を素直に信じて、不器用ながらも応援していきます。
今で言う「主夫」になって、その役割も受け入れているように見えました。
結果、ルイスの絵は時のアメリカ副大統領から注文が来るほどまでに評判になります。
ルイスは天才でした。
天才というのは、ときに破滅的でもありますよね。
だから社会に馴染めません。
むしろ幸せになった天才のエピソードのほうが少ないかもしれません。
ルイスも絵画以外は、そう得意ではない人物として描かれています。
でもルイスは才能を開花させた上で、幸せになっていく。
それはやっぱりエベレットの胆力の賜物だろうと想像できました。
エベレットは粗暴なところもありますが、実はものすごく器の大きな人なんだろうと。
そうでなければ、「天才」と夫婦生活を営むのは困難だと思うのです。
やはり「内助の功」というものがあるのだと思います。
そしてこの物語はステレオタイプの内助の功ではなく、男女が逆になっているところに大きな学びがあるような気がしました。
ならず者の物語だからこそ、見た人の偏見を取り除く薬にもなってくれると思います。
質素でまっすぐ生きるふたり
そして成功したあともふたりはエベレットの小さな家で質素に暮らし続けます。
強欲な人物として登場するルイスの兄からの誘いも潔く断り、ただ淡々と自分たちにできる仕事をやり続けている。
わたしはその姿に心打たれました。
なにに煩わされれることもなく、ただ絵を書き続けるルイス。
それを支え続けるエベレット。
できることなら、自分もそんな風に生きてみたい。
幸せは紡ぐもの
映画やドラマで描かれるラブストーリーは得てしてドラマチックですよね。
ときに愛や幸せが天から降ってくる奇跡のように描かれています。
しかしルイスとエベレットはぜんぜん違う。
雷に打たれるような一目惚れではなく、家政婦と雇い主という極めて現実的な出会い。
山あり谷ありのサクセスストーリーでもなく、至って質素なシンプルライフ。
しかしそのなかで、ふたりは愛と幸せを紡いでいきます。
現実は、魔法がふってくるシンデレラストーリーではありません。
まぁ、シンデレラのような人もいるでしょうが、魔法を前提にして生きるのは、宝くじを買い続けるようなもの。
多くの人は、与えられた現実のなかで、自分の力で愛や幸せを紡いでいくしかありません。
その意味で、ルイスとエベレットはわたしたちがこの現実を生きるうえで最高のお手本ではないでしょうか。
お金や名声、モノ、煩わしい人間関係に騙されることなく、ただただシンプルに生きていく。
わたしにはそれが幸せの秘訣であり、愛を大事にすることだと思いました。
ストーリーや演出から言って大人向けの映画ですが、ぜひ多く人に見てみてほしい映画です。
主人公のモード・ルイスを演じるサリー・ホーキンスの演技もものすごい。
ぜひ観てみてください。
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