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稲垣えみ子さん『一人飲みで生きていく』を読みました!ひとりでつくる、わたしのイドコロ

稲垣えみ子『一人飲みで生きていく』の表紙

稲垣えみ子さんの書籍はほとんど読んでいます。

稲垣さんが一貫して取り組んでいるのは、「強くなる」ための生活実験です。

 

『魂の退社』では会社から離れることで、『寂しい生活』では家電から離れることで、『もうレシピ本はいらない!』ではレシピから離れることで。

 

それぞれどのように強くなっていけるか、あるいは結果としてどう強くなったかを綴っています。

そして今回の実験は「一人飲み」。

 

「男はつらいよ」の寅さんよろしく、一人飲みに憧れる稲垣さんは、一人飲みを実践していく中でまた強さを見出していきます。

 

ところで「強さ」とは何でしょう?

稲垣さんはいっかんして「ひとりで生きる強さ」を追い求めているように見えました。

 

ところが今回、一人飲みと言いつつも、他人が関わってくる。

捨てて、離れて、身軽になっていく方向性が多かった稲垣さんですが、今回は他人との間にどうやって自分の居場所を見つけるかに苦心しています。

 

ある意味では、これまでの書籍とは逆の方向性にあるのが本書です。

 

稲垣さんに人から離れる「仙人道」を求める読者も多いでしょう。

しかしわたしは、ふっついたり、はなれたりを繰り返す人間のほうにリアリティを感じます。

 

どうしたって、多くの人はそうやって個人と社会を行き来しながら生活しているからです。

今回は「稲垣えみ子、社会のなかに居場所をつくる」の巻。

 

強さを求めるなら、同時に「強いってなんですか?」という問いかけも必要ですよね。(「はじめの一歩」みたい)

「ひとりで生きる」ことだけが、強いわけじゃない。

 

『一人飲みで生きていく』を読んで、わたしは「なるほど、それも強さのひとつだなぁ」と思いました。


一人飲みで生きていく


イドコロをつくる

本書を読みながら思い返したのは、伊藤洋志さんの『イドコロをつくる』という本です。

 

以前に紹介しました。

関連記事:伊藤洋志さん『イドコロをつくる 乱世で正気を失わないための暮らし方』を読みました!まともに生きたい人のためのアイディア集

 

イドコロとは、情報がスピーディに通り抜ける「正気を失う場所」から退避するための場所。

街中に存在するさまざまな場所に、ふーっと小休止するためのイドコロを見つける術を紹介しています。

 

イドコロのひとつとして紹介されているのが「街の個人経営の居酒屋」。

そこはまさに稲垣さんの「一人飲み」の主戦場です。

 

『一人飲みで生きていく』で、

世界と繋がるスマホにも、絶対に繋ぐことができないものがあるのだ。それは、目の前のものである

という印象的な一文がありました。

 

インターネットの世界にも、広告、スキャンダル、ゴシップ、おカネ、トレンドがあふれるようになって久しい。

そして、それらはスマホ以前とは比べ物にならないくらいの量とスピードでわたしたちの目の前を駆け抜けていきます。

 

つまりスマホこそが「正気を失う場所」

だからそこから少しでも距離をおけて、かつ社会との関わりつつ、心を回復させる場所が必要です。

 

それこそが「一人飲み=イドコロ」というわけ。

『一人飲みで生きていく』は、一人飲みに特化した「イドコロ解説本」にも読めました。

自分の世界をつくる

稲垣さんは独身ですが、ひとり飲みはパートナーがいる夫婦にもおすすめかと思います。

それぞれ別々に、一人飲みをする。

 

夫婦やカップルも長い付き合いににあると、すべてがお互いを通して経験するようになりますよね。

家庭はお互いに与えあっているものだし、趣味のコンテンツや、食事もすべて「ふたりの世界」で営まれるものになっていきます。

 

それは幸せであると前置きした上で、さらに「ひとりの力で得たなにか」もやっぱり楽しくて尊いものだと思います。

 

パートナーも知らない人間関係があっても良いですよね。

いや、不倫とかじゃなくて(笑)

 

たんじゅんに、パートナーの愚痴を気兼ねなくこぼせる友達は欲しくないですか?

これがお互いに共通の友人だと、その友人を経由して余計にややこしいことになったり(笑)

 

母でも妻でもなく(また父でも夫でもなく)、ひとりの自分に戻る時間。

一人飲みにはそんな時間でもあるんじゃないかと思いました。

 

っというわけで、本書は独身のみならず、パートナーがいる人にもおすすめです。

 

相変わらず軽快な文章で、ゴクゴクと飲むように読めます。

ふだんあまり本を読まない人にもおすすめですよ。


一人飲みで生きていく


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