糸井重里さんが代表の「ほぼ日」による書籍です。
この本は糸井さんが、ほぼ日ウェブ上に投稿したひとつのコラムがきっかけで生まれています。
それは既存の就職活動について疑問を投げかけるものでした。
返ってきたさまざまな意見に対してアンサーとして、この『ほぼ日の就職論 はたらきたい。』が制作。
わたしが興味をもったきっかけは、糸井さん自身は「はたらきたくない」から就活をスタートさせているというエピソードです。
なんでも、子どもの頃にいつか働かなくちゃいけないことを悟った時、悲しくてないてしまったのだとか(笑)
わたしも共感します。
なんなら、未だにはたらきたくないですもん(笑)
そんな糸井さん作ったこの本は、一般的な就活関連の本とは違い、ちょっと変わった内容になっています。
サラリーマン以外の就職論?
対談集と名言集からなるこの本。
対談は糸井さんがメインの聞き手で、さまざまな人が登場します。
しかし一般的なサラリーマンはあんまり登場しないんですね。
就職して「なる」のはサラリーマンにもかからわず、です。
登場するのは、フリーのミュージシャンや漫画家、コンサルタントから大学教授、そしてミュージシャン兼、自社の社長である矢沢永吉さんまで!
サラリーマンではない人の話を聞いて、これからサラリーマンになる(就活する)人の役に立つのでしょうか???
実はわたしもサラリーマンをやったことがないので、わかりません(笑)
しかし、きっと役立つのだろうな、と思います。
なぜなら、本性で登場するようなユニークな人たちは、「働くこと」にちゃんと向きあってきたんだなぁと感じたからです。
例えばフリーランスになったら、誰が仕事を与えてくれるわけでもありません。
自分で仕事を作ったり、あるいは営業して自分から仕事をゲットしないといけない。
ある意味で、仕事が自動的にふってくるサラリーマンとは逆。
フリーでやっていると、働きたいのに働けなかったり、また逆に働きたくないのについつい働いてしまったり、じぶんが想定していなかった「働き方」をしてしまうものです。
しかしそうすると「仕事」についてより深い洞察が得られるようになる。
そしてその洞察はサラリーマンにだって役に立つことのように思うのです。
この本を読むと、登場人物たちがなんだか楽しそうに働いているように見えるし、そして希望をもって働くことを語っているように感じます。
なぜでしょうか?
働くことについて考えると「ブラック企業」「サービス残業」「パワハラ」などなどネガティブなキーワードを連想することもあるでしょう。
そうならず、本書が極めて明るく語ることに成功しているのは、働くことについてより本質的な目線から語っているからだと思います。
仕事におけるネガティブキーワードを引っ張り出して、それを外科手術のようにやっつけるのは、ある意味でかんたんかもしれません。
しかしひとつの病巣をとりだしたとて、体全体の体調はかならずしも良くならない。
体調を良くするには、より俯瞰的に生活全般をみわたして、改善していく必要がありますよね。
もしかしたら、働くことについて「病んでいる」人も、このように全体感をもって見ることが大事なのかもしれません。
その意味で、この本は働くことについての漢方薬と言えそうです。
これから就活で、働く気はあるけど、なんだからうっすらモヤぁっと不満や不安がはりつている。
そんな就活生にはもちろんおすすめだし、またすでに働いていて、それを受けれて入るけど、やっぱりなんだか不満、なんて人も読む価値があると思います。
即効性はないけど、じんわりと聞いてくる本。
ぜひゆっくりと読んでみてください。