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映画『川っぺりムコリッタ』感想。『かもめ食堂』の監督作品

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かもめ食堂』の荻上直子さんが監督。

 

主演は松山ケンイチさんで、他に満島ひかりさん、ムロツヨシさん、吉岡秀隆さん等が出演しています。

 

北陸のとある街にある「ハイツムコリッタ」に引っ越してきた孤独な青年、山田たけしが主人公。

 

孤独だった彼がムコリッタの住民との交流をとおして、少しずつ幸せに気づいていく…。

 

そんなストーリーです。

 

わたしは松山ケンイチさんと同世代だし、ちょうど”孤独”なひとり暮らしだし(笑)、「これはじぶんの物語っぽい」と思って、映画館に足を運んできました!

 

※以下、ネタバレを含みます

 

関連記事:名作映画「かもめ食堂」を観た感想。似ている映画も紹介

 

映画『川っぺりムコリッタ』を観た感想

ぜんぜん”ゆるふわ”じゃない


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『かもめ食堂』の監督が撮っているし、この予告編を見ると、率直に言って「ちいさな幸せ」を描く物語なんだろうと、想像つきます。

 

なんとなく笑顔あふれた”ゆるふわ”な暮らしの物語だろうと。

 

でも、ぜんぜん違いました(笑)

 

テーマになっているには「死」や「孤独」

 

誰しもに訪れるそれらではあるけれど、見て見ぬ振りをしたい事柄でもある。

 

でも、正面切って見つめる2時間です。

 

ちょっとグロテスクな表現も、一瞬出てきたりしますね。

 

わたしは観終わった後、ちょっとショックでした(笑)

感想がむずかしい映画

登場人物はいわば”貧困”の中にあり、社会のマジョリティになかなか戻れない、のっぴきならない事情をもった人もいます。

 

その人物たちをみて、なにを思うべきでしょう?

 

あー、じぶんはそこまでじゃなくてよかった

 

と、傍観者をきどり、人との比較から希望を得るべきか。

 

しかし心に浮かんだその軽薄な感情に、じぶんが嫌いになりそうになる。

 

でもだからと言って、ほんとうにその人の立場となって寄り添う勇気も持ち合わせていない。

 

この物語をじぶんとは関係ない「ファンタジー」として見るか、じぶんと地続きの「現実」として見るか。

 

それは見る人によって変わってきそうです。

 

わたしは「現実」の目線を捨て去ることができない。

 

なぜなら、わたしは主人公と同じ”孤独”だから(笑)

 

「身につまされる」じゃないですけど、山田たけしの人生は、じぶんにも起こりうるものだと感じます。

卓越した映画表現

そのストーリーから表現のほうに目を移すと、とても素晴らしいものだと感じました。

 

とにかくセリフの少なさがイイなと。

 

ここ最近、映画に限らず「トラウマ」「過去」「悲しみ」「孤独」の表現に辟易しているじぶんがいました。

 

これらの悲しみの感情は、ベラベラ語ると「愚痴」へと埋没してしまう。

 

人の愚痴を聞いていると「まぁ、まず黙って手を動かせよ」って気持ちになってくるんですね(笑)

 

しかし『川っぺりムコリッタ』の登場人物たちは、じぶんたちの過去をそう多く語ろうとしません。

 

よくよく考えてみると、ほんとうに傷ついた心が、そうかんたんに過去を語れるはずがない。

 

それが人間の正直なところだと思います。

 

荻上直子さんの作品に共通する部分でもありますが、少ないセリフで進んでいくこの物語に、とてもリアリティを感じました。

 

ここで唐突に、わたしの好きな歌を紹介させて下さい。

どうして冷たくなっていくんだろう? 彼の瞳がそう問いかけたら
ぼくはやさしく 手を差し伸べるさ (Blaneky Jet City/リス)

人にはきっと、「彼の瞳」から悲しさや辛さを感じとる能力があると思うんですね。

 

言葉じゃなくて。

 

わたしは感じとれる人でありたいなぁと思うし、もし感じとったなら「やさしく 手を差し伸べる」人でいれたらいいなと思います。

 

『川っぺりムコリッタ』では、この「手を差し伸べる」という行為が「暖かなごはんをいっしょに食べる」こととして語られている気がします。

印象に残ったシーン

セリフが少ないからこそ、終盤の松山ケンイチさんのエモーショナルなシーンがなんとも心に刺さります。

 

こらえて、こらえて、言葉を選びながら絞り出す。

 

そこれそやさしく寄り添ってしまいたくなるシーンでした。

 

あのシーンがあったからこそ、なんとかこうやって感想を書けている気がします。(なかったら、ただただ打ちのめされてしまう)

 

そしてもうひとつ印象に残ったのが、満島ひかりさんの「夫の遺骨をかじるシーン」。

 

誤解を恐れずに言うと、あのシーンはめちゃくちゃ変態的ですよね(笑)

 

でもその変態性、わたしはすっごくわかってしまった(笑)

 

愛する人が欲しい、愛する人を感じたい。

 

あのシーンで浮かべる満島ひかりさんのある種の官能の表情が、ほんとに素晴らしかった。

 

ちょっとあれができる俳優さんは、彼女の他にいないんじゃないかなと思います。

 

またひとつ歌詞を紹介したいんですけど、

もう二度と会えないことは もう二度と感じれないことか
それならば ぼくは今を 通り越したマシンにのって
おまえに おまえに 愛しているって言おう (AJICO/深緑)

たぶん、「会えないこと」と「感じれないこと」ってまったくのイコールじゃない。

 

会えなくても、感じることはできる。

 

少なくとも人は感じようとするでしょう。

 

あのシーンで描かれる変態性は、世間で表立って語られることはない感情ですが、すごく人間的で美しいとすらわたしは思います。

全員、実力派

出演している全員が日本を代表している俳優さんだと思うので、とにかく「見て損」はない映画だと思います。

 

エラそうで申し訳ないですが、演技を見て「冷める」ことは一瞬もなかったですね。

 

日本映画が好きなら、これは見ておいたほうが良さそう。

 

ただ、これまでの荻上作品よりすこしだけキツめの表現が出てくるので、年齢は選ぶかな?

 

良い作品だからヒットして欲しい気もしますが、エンタメ作品ではないですし、とりたてて激推しするわけじゃなく、小声で「良い映画だったよ…」と伝えたい作品でした。

 

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今日のあとがき

4月18日

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