2009年に刊行された古い本ですが、ここ1年で読んだ中ではトップクラスで良かったです!
ジャンルで言うとビジネス本。
ビジネス本とは金銭的な成功を目指す内容が99%ですよね。
ですが、この本は残りの1%に該当します。
リトルスターレストランとは?
東京都三鷹市にある飲食店。
駅からほど近い場所。
雑居ビルの3階にあります。
先日、友人に誘われてはじめて足を運んだのですが、これがとっても気持ちの良いお店だったんですね。
まず、料理がとても美味しかった!
飲食店と言ってもちゃんと「料理」を出しているお店って少ないじゃないですか。
科学実験のようにオートメーションで調理された料理は、なんだか味気ないもんです。(ファストフードも好きですが)
でもリトルスターレストランの料理は、口に入れるとイッパツで人が作っているとわかる味。
とは言え、手作りで美味しいお店って、これまた少ない(笑)
そこのところリトルスターレストランは、料理人の技術と手間が味によく反映されていて、とても美味しかったです。
明らかに(良い意味で)めんどくさい仕事をしているなぁと感じましたが、本を読んで納得。
紹介されている味噌汁の出汁や取り寄せているお米の話、ハンバーグなど火入れ…かなりの拘りが感じられました。
そんな「料理」って実はもっと価格帯の高いお店や、敷居の高いお店を選べばたくさんあります。
でも「みんなが入りやすい」という条件を入れると、めちゃくちゃ少なくなりますね。(特に東京だと!)
あたたかい雰囲気
リトルスターレストランは接客も人当たりが良くて、気持ちが良い。
「人当たりが良い」というか、なんだか「人懐っこい印象」でした(笑)
料理もそうですが、なんだかお店全体に信用できる雰囲気があるんですよね。
本の帯にお客さんから寄せられたコメントが掲載されています。
その中のひとつに、
小学生の息子に、「家の鍵を忘れたら、リトスタで待ってろ」と言える店。(40代男性、小説家)
とある。
これは秀逸なコメントです!(さすが小説家)
実際に足を運んでみると、まさにそんな感じだったなぁと思います。
信頼できる美味しいお店が近所にあると、ほんとQOLが上がりますよね。
成功以上の成功
本の中では、お店を立ち上げるときのワクワク感とか、はじまってからの悩み、そして売上の厳しさなど、なかなか赤裸々に語られています。
きっとこれから飲食店をはじめようと考えている人は、参考になるのではないでしょうか?
別にお金が欲しくないわけじゃないでしょうが、リトルスターレストランが目指しているところはきっと、金銭的なだけの成功じゃない。
お金って、必ずお金持ちと貧乏をつくります。
お金はその原理的に、宿命的に「差」を求めて動くものですから、こればっかりは変えようがない。
だから本人の努力に関わらず、金銭的に恵まれない人って必ず出てくるんですね。
本の中にある「リトルスターレストランをやる限りお金持ちになるのは難しい」という言葉は本音であり、事実かもしれません。
しかし貧乏でもすばらしい人生ってたくさんある。
『リトルスターレストランのつくりかた。』は、そのすばらしい人生を送るためのヒントが書かれている気がします。
あ、別に「お金持っちゃダメ!」という原理主義的な清貧ではないですよ(笑)
でも別に貧乏じゃなくても、人生が30年ぐらい過ぎると「お金じゃない成功」という命題にぶつかる人は多いと思う。
この本を読むと、解決はできなくても少なくとも悩みを共有できる気分になると思います。
本以上の本
そしてぜひリトルスターレストランに足を運んでみてください。
乱暴に言えば、本とは「脳」と「視覚」だけの世界です。
ある意味でスマホとかのデジタルと変わらない。
でも人間は目からの下のパーツも稼働させないと、それこそ幸せになりにくいです。
わたしの好きなThe Birthdayの楽曲にこんな歌詞があります。
髭と眼鏡は一晩中 喋って自分を守ってる
あんたはただのハイテクで 銀紙みてぇな味しかねぇ - DISKO
そんな人生、嫌でしょ(笑)
めちゃ激しい曲↓
ちゃんと銀紙以外のモノを食べないと、なんだか歳をとってからたいへんなことになる気がする。
本で読んで、お店で食べて…。
この本はある意味で、本以上の本だと思います。
キャッチフレーズ的に言えば「食べられる本」と言えるかもしれません。
多摩は東京に住んでいる人も足を運ばないエリアですが、三鷹は隣が吉祥寺ですし、行く理由は作りやすい。
どちらかと言うと食べる→読む順番がおすすめなので、ぜひ足を運んでみてください!
これを読んだ人はこれも
「お金じゃないの成功」という内容だと、ひとり出版社を営まれている島田潤一郎さんの『古くてあたらしい仕事』もおすすめです。
島田さんは夏葉社という出版社をおひとりでやられています。
奇しくも三鷹の隣、吉祥寺で。
興味があったら、こちらもぜひ読んでみてください!
関連記事:夏葉社、島田潤一郎さん著『古くてあたらしい仕事』を読みました。誠実さを妥協しない仕事をひとりでやる。勇気をもらえた本