simplelog.me

シンプルログ ドット ミー

『ロスト欲望社会』を読みました。「消費」の今昔、そして未来がわかる本

ロスト欲望社会の表紙

すこし前に著者の鈴木努さんの『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』を読みました。

関連記事:『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』を読みました。ミニマリストのオールスター感謝祭だった!

 

そのあとがきで、こっちの『ロスト欲望社会』が紹介されていたので、続けて読みました。

 

この本は、わたしたちの日々行っている「買いもの」、つまり「消費」についてさまざまな事柄がまとめられています。

 

さいきんよく聞くようになったエシカル消費、ハンドメイド作家とそれをとりまく環境、消費者運動、産消提携、海洋プラスチック、無印良品、ミニマリストなどなど、多様なテーマで消費について語られています。

 


ロスト欲望社会


 

無印良品の歴史がおもしろかった

なかでもいちばん身近なのは、無印良品ですよね。

 

無印はもともとSEIYUのプライベートブランドからのスタートだったんですねぇ。

設立から数年後に独立したのですが、今でも企業文化は似ているところがあるらしい。

 

それは「顧客の声を直接、よく聞くこと」だそう。

 

SEIYUには人気の「みなさまのお墨付き」という商品がありますよね。

無印もやはり顧客の声を聞くために「くらしの良品研究所」を古くから運営しています。

 

両者のブランドイメージは今や正反対と言ってもよいですが、もとは同じというのはおもしろいですよね。

 

他にも本のなかでは、無印が大事にする「用の美」や「清潔」の概念が紹介されています。

じっさいに無印の商品を使っている身からすると「なるほど。たしかに」と思う部分ばかりでした。

 

これを読んだら、無印のファンになってしまうかもしれません(笑)

 

そして今、無印はJapan Sustainable Brands Indexのランキングにて第2位ということで、エシカル消費やSDGsの先陣を切るブランドとして意義を高めています。

 

「環境に配慮した買いものをしたい」という気持ちは、わたしにもあります。

ところが、商品のひとつひとつの「環境配慮ぐあい」をいちいち確認して、日々の買いものをするなんて不可能ですよね。

 

わたしは豆腐、納豆、めかぶを常備するんですけど、ふつうにスーパーで買い物するとすべてプラスチック容器です。

これでは環境によい暮らしをしたくてもできない…。

 

だから無印のように、企業側が率先して環境保全に取り組んでもらえると、買う方はとってもらくちん。

 

「とりあえず無印を選んでおけば(環境的に)無難だね」となります。

その気持もあって、わたしはさいきんどんどんムジラーになってきました(笑)

 

ただ無印良品も今、転換期を迎えています。

2021年7月に堂前宣夫さんが社長に就任したとニュースが出ました。

 

堂前さんはファーストリテイリング(ユニクロ)の出身で、2024年までに現在の980店舗から1300店舗まで出店数を伸ばし、2030年には2500店舗、売上高3兆円を目指すと発表されました。

 

売上高3兆円は、現在のユニクロをも超える数字です。

この目標が、無印のエシカルなブランドイメージを毀損し、大量生産大量消費の「ふつう」のブランドへと格落ちしてしまうのではないかという懸念があります。

 

もっとも「売上」と「エシカル」が必ずしも相反するわけではなく、むしろ両立を目指さないといけません。

 

その意味で、無印が「エシカルで儲かる」企業として日本を代表する企業になれば、それは素晴らしいことだと思います。

 

とは言え、この経営戦略に聞く限り、顧客であるわたしたちは無印の一挙手一投足に目を光らせる必要はあるなと思います。

 

『ロスト欲望社会』から読み取れるメッセージのひとつは「下からの啓蒙」でした。

わたしたちの買いもの(消費)が企業や政治に影響を与え、持続可能な消費社会を作っていく可能性について言及しています。

 

そう考えたとき、無印という日本生まれのエシカルブランドを消費者がちゃんと守っていけるかは、非常に重要なのではないでしょうか。

第6章の「海洋プラスチック」に関する記述を読むと、人類にとってそれが喫緊の課題であることがよくわかります。

 

できる限り環境に配慮した買いものをすると同時に、エシカルブランドを育てていくことが消費者には求められるでしょう。

新参者ムジラーのわたしも、無印が汚いブランドにならないように見張っていきたいと思います(笑)

 

この本『ロスト欲望社会』は、なかなか気軽に手に取る本ではないかもしれません。

大学のゼミ発表みたいな感じだし、むずかしい言い回しも多いです。

 

なかなか3,000円以上する本をネットで気軽に買えないですよね (笑)

でも、もし手に取ることがあったら、ぜひ興味のあるところだけでも読んでほしいなぁと思います。

 

本屋や、そのうち図書館にも並ぶと思うので、探してみてください。


ロスト欲望社会


ブログトップページへ