「ドーパミン」という言葉は誰しもがいちどは聞いたことがあるかもしれません。
この本はタイトルから分かる通り、ドーパミンについて研究した内容です。
わたしは「スマホ依存」に関して関心があり、そのような本を読むと必ず現れる言葉が「ドーパミン」でした。
ですからドーパミンそのものについてもっと理解を深めたくなったのです。
この本でドーパミンを説明するために対になる概念が登場します。
それが「H&N物質」というもの。
ヒヤー&ナウの略で「今ここ」に集中する時に脳内で出される物質だそうです。
H&N物質の代表格がセロトニンやなど。
対してドーパミンは今ここではない未来や世界を想像させ、それに向けて行動させようとする物質です。
ポイントは「ドーパミンそのものは幸福感をもたらさない」ことと「ドーパミンとH&N物質は反比例する」ことです。
ドーパミンは「快楽物質」と表現されることがあります。
しかしこれは間違いで、ドーパミンが噴出されるときは、興奮こそすれど幸せを感じているわけではないそう。
むしろ幸せを感じている時はH&N物質が優位になっています。
ドーパミンは人を突き動かしはすれど、それが幸せかどうかはわかっていません。
そしてお互いに反比例しているがゆえに、ドーパミンが常時出ているとH&N物質が働かず、幸福感を味わえない。
例えば「あれが食べたい!」と思った時は、まさにドーパミン優位の状態です。
ですが、いざその食べ物を食べた時に「あ、あれも食べたいなぁ」と想像してしまうと、それはドーパミンの仕事なので、H&N物質が抑制されます。
結果的にあれだけ求めたいものを食べたのに、美味しさを存分に味わえず満足できなくなる。
この原理はなにか大きな教訓を読み取れそうな気がしますね。
今、ここにないものを求めてばかりでは幸せにはなれず、目の前にあることを愛でることが必要。
ミスターチルドレンの歌詞のようですが(笑)、この本で紹介されている原理を読み解くとそう言えると思います。
この本はドーパミンとH&N物質の対立を軸に、恋愛、創作、発明、依存、政治といったテーマを紐解いていきます。
例えば恋愛では、ドーパミンはもちろん欲求を司り、H&N物質は友愛を司ります。
不倫してしまうのは、どっちが優位の人…?
ただ全体的にドーパミン VS H&N物質というカタチで論が進んでいきながらも、最終的には両者のバランスをとることを提案しています。
さらにわたしがこの本を読んで、話をややこしくさせていると感じたのは、ドーパミンが2種類あることでした。
ドーパミンは、直近の未来に訴えかける「欲求ドーパミン」と、遠い未来に訴えかける「制御ドーパミン」に分かれます。
例えば目の前に食べ物があったとして、「栄養だ!食べて補給せよ!」と言うのが欲求ドーパミン。
対して「食べ過ぎたら太るよ。我慢だ!」と言ってくるのが、制御ドーパミン。
制御ドーパミンは努力ドーパミンとも表現され、ドーパミンを持ってドーパミンを制すみたいな状況があり得るんですね。
逆に言えば、ドーパミンを一元化して制限しようとすると、努力もできなくなってしまうわけです。
ですから、H&N物質だけを優位にすれば平和だ、というわけではなく、必ず両立させる必要があると。
ただ結果として、今私たちの現代社会では、おおむねH&N物質を優位にするスイッチを入れるべきだろうと思います。
スマホ依存がある社会。
それはドーパミンスイッチを四六時中おされる社会です
情報分野だけでなく、町を歩けばコンビニ、ファストフードが溢れ、絶えずドーパミンを刺激してきます。
意識してドーパミンを制御しないことにはH&N物質がうまく出せなくなりそうです。
マインドフルネスなんかが流行っていますよね。
あれは明らかにH&N物質を活性化させる運動に思えます。
ドーパミンは悪者ではないですが、
- 幸福をもたらすのはドーパミンではなくH&N物質
- ドーパミンとH&N物質は反比例する
の2点は非常に大切な知識だと思います。
同時には出ないので、ドーパミンを切って、目の前のことを満喫する時間が人生には必要です。
具体的に何がドーパミンを刺激して、何がH&N物質を刺激するのかは、ぜひ本書を読んでみて下さい。
ドーパミンは誰しも当たり前に持っている物質ですから、あなたが興味がある分野にも応用できることがきっと多いでしょう。