「ニュースは体に悪い!」
それだけを強烈に論じた一冊です。
著者は日本でも売れている『Think clearly』や『Think smart』を書いたロルフ・ベドリ。
彼はもう10年以上、ニュースを見ない生活をしているそう。
読むのは、長文の論考や本。
そしてそれでまったく十分だし、ニュースを読むことでかえって弊害あると、この本では明確に語っています。
ニュースは人生に影響を及ぼさない、なのに見てしまう
本書ではたびたび「あなたが1年間で見たニュースで、重要だと思うものを思い出してみよう」と問いかけます。
わたしも考えてみると…いやぁ、これがまったく思い出せない(笑)
この時点でロルフの主張がほぼ正しいことを証明しているように思います。
ニュースに対して何かしらの「必要性」を感じて、わたしは日々ニュースを消費していた。
けれど、いざニュースで得た知識を現実に運用しようとしたら、これがまったくできない。
だとすればそれは本当に意味がないことですよね。
ロルフ曰く、ニュースのほとんどは自分の「能力の輪」の外にあると。
だからニュースで物事を知ったとしても、その事柄に何も影響を及ぼすことができない。
そればかりか、影響を及ぼせないことの無力感が心の弊害になることを指摘しています。
きっと本当に世界を良くしようと思ったら、ニュースに時間と精神とお金を浪費するのではなく、自分の仕事や生業をいかに思いやりのあるものに変えていくかに苦心した方が良い。
心配しなくても、世界はちゃんと繋がっていて、良い仕事が繋がって遠い人にも良い影響を与える気がします。
余談ですが、ミスターチルドレンの「彩り」という歌がそんな歌で、わたしは好きです。
「能力の輪」の考え方は「ミニマリズム」とも接近しているように感じました。
どちらも自分の手の中で納まることに集中することです。
News Dietは情報のミニマリズムとも言えるかもしれません。
現代はニュースのデメリットが極めて強調された時代です。
そもそもニュース媒体はとにかくニュースを見せることを第一に考えます。
それが商売ですからね。
その市場原理とスマホの相性は、悪い意味でばつぐん!
いつでも手の中にいるスマホがニュースを届けよう届けようと狙っています。
そういった情報環境を考えれば、わたしたち消費者側がニュースに対して距離をとらないことには、いつまで経ってもニュースが追いかけてくることになるでしょう。
本書で示されいる「ニュースの未来」も決して楽観できることではありませんでした。
ニュースは悪!だから辞めるのではない
この本は小気味よくニュースのデメリットについて論じています。
ともすれば「ニュースは絶対悪だ」と言っているように受け取ることができるでしょう。
しかし、それこそニュース的な情報の受け取り方だと指摘しておきたいと思います。
ニュース的とは一元的で、速報性があり、情報の根拠が脆弱なこと。
そもそもなぜニュースを避けるべきなのでしょうか?
それは物事に対する複雑性を回復するためです。
例えば「テレビは嘘ばっかり」という意見があります。
実際はテレビだろうがYouTubeだろうがSNSだろうが嘘はたくさんあるし、テレビにも良質なコンテンツはたくさんあります。
冷静に考えれば、プラットフォーム単位で断定するのはいささか無理がありますよね。
同じように「ニュースは悪!」と断じることは、大切な何かを見落としているかもしれませんよね。
ニュースは悪かもしれない、でも本当にそうだろうか?良い面はないのだろうか?
そう考えることは非常に重要な思考だと思います。
実は「ニュースは悪だ!」という意見こそ、ニュース的な思考(断定的な主張)に毒された結果だと言えるでしょう。
ぜひこの本をニュース的思考で読むのはやめて欲しいと思います。
「ちょっと待てよ…」と立ち止まって、自分で考えて、この本から世界の複雑性を理解するように読んでみてはどうでしょうか。
とは言え…ニュースを見るのはやめた方が良いと思います(笑)
わたしもさっそくニュースアプリを削除しました。
「ないを言ってるんだおまえは…」と思ったかもしれませんが(笑)、
「ニュースは悪ではない、でも自分は見ない」
という立場は成立するでしょう。
そしてその方がニュースを悪だと断じる立場より、ニュースを是正する力学も働きやすい気がするのですが、どうでしょうか?
この本は、再読しやすいようにポイントをまとめた箇所があります。
そういった編集の本は普段本を読まない人にも読みやすいです。
ネットニュースに慣れると、長文が読めなくなるそう。
もしかしたらそういった人も想定して、読みやすい編集になっているのかもしれません。
多くの人に手に取って欲しい一冊です。
ぜひ読んでみて下さい。
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ミニマリスト入門書から、マニアックなドキュメントまで。
「ミニマリストなりたい!」
「いろんなミニマリスト参考にしたい!」
と考えている人は、ぜひごらんください。
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