あなたは紙派?電子派?
わたしはKindle端末を購入して以来、電子書籍で本を買うことが増えていたのですが、最近になってまた紙の本の良さを再確認しています。
この記事では、紙でも電子でも本を読むわたしが考える「紙の本のメリット・デメリット」をご紹介。
今後、紙の需要は減っていくでしょう。
だからこそ逆にメリットが浮かび上がっているように思います。
紙の本のメリット
記憶に定着しやすい
本の内容を記憶に定着させようとするとき、様々なメタデータを付随させると効果的。
本の場合、メタデータとは視覚以外の触覚、聴覚、嗅覚などです。
紙の本には、まず電子にはない厚みや手触り(触覚)がありますよね。
それも一冊一冊違います。
実際に科学的な検証がなされており、やはり紙の本を読んだ人のほうが記憶の定着率が高かったそう。
ノルウェイのスタヴァンゲル大学の研究者、アン・マンゲン(Anne Mangen)氏の新しい研究では、50人の被験者に28ページの短編小説を読んでもらい、後から重要なシーンをどれくらい思いだせるかをテストしました。このとき、被験者の半分はKindleで、残りの半分はペーパーバックで読んでもらいました。 登場人物や設定を思い出すことに関しては、どちらのグループも同程度の成績だったと、ガーディアン紙が報告しています。ところが、物語のプロットを再構築するよう頼んだところ、大きな違いが見られました。電子書籍で読んだ人は、14のストーリーイベントを正しい順番に並べるテストにおいて、著しく悪い成績を示しました。 ー電子書籍より紙の本で読んだほうが、内容をよく記憶できる:研究結果
また物理的に本が存在していることで、いったん忘れても思い出しやすいこともあります。
電子書籍だと読み終わった本はスマホ(あるいはKindle端末)の奥の方へと追いやられてしまいますよね。
こうなると、読んだことすら忘れてしまうことがけっこうあるんです。
対して紙の本は部屋の本棚に収納され、いつも目にします。
ですから読んだことは決して忘れず、気になった時にすぐ手に取りやすい。
これってある種の自己暗示と言うか…。
美容の世界では、憧れのモデルのポスターを家に貼ることでその体型に無意識に近づこうとするライフハックがあるそうです。
知識とか情報の世界でも、本として部屋の中に鎮座してもらう方がやはり深層心理に訴えかけるモノがあると思います。
このように紙の本は物理的な存在があるために、記憶をアシストしてくれるのがメリットです。
カッコいい
TSUTAYAが公共の図書館をプロデュースするというニュースがありました。
その中で、空間演出のために中身のないダミー本を購入することが話題になりましたね。
「ダミー本」とは、ダンボールでできた中身が空洞の偽物の本のこと。マンションのモデルルームなどで、部屋のインテリアをオシャレに演出するために使われる洋書風の小道具といえば、イメージしやすいだろう。その偽物の本を、よりによって新設する公共図書館に3万5000冊分も入れる計画というのだ。ーツタヤ図書館、ダミー本3万5千冊に巨額税金…CCC経営のカフェ&新刊書店入居
まぁ、これは皮肉な例ですが(笑)、この例から分かる通り、本というのはそれだけで知的でカッコいいアイテムと見なされていることは間違いない。
なにもカッコつけるために本を買え!と言いたいわけじゃなく、この効果をもう少しポジティブに使うこともできると思います。
さっきの自己暗示の話じゃないですが、なりたい自分になるために本のカッコよさに自分をひっぱりあげてもらうことだってできるでしょう。
あと例えば電車で紙の本を読んでいる人を見かけると、なんだか好感をもってしまいせんか?
きっと流行に流されない、落ち着いた人なんだろうなぁと勝手に想像してしまいます(笑)
本はファッションアイテムではないですが、洋服やアクセサリーと同じように自分をとりまくひとつのアイテムです。
他人からの印象を左右させる機能は、否応なくもっていると思います。
人に貸せる、プレゼントできる
今のところ、電子書籍を他人に貸す機能はありません。
良い本を読んだ時こそ、誰かに勧めたいのに貸せないのは、何だか歯がゆいなぁと思うことがしばしば。
紙の本は、単なる情報ではなく、コミュニケーションを担うものでありましたよね。
特に10代の子どもたちにはぜひ紙の本を読んで、友達同士で交換し合って、コミュニケーションして欲しい。
そんな日常があった方が良いなと思います。
わたしが子どもの頃、少年ジャンプの発行部数が全盛期のいわゆる黄金期でした。
近所の子どもたちがみんな買うものだから、ゴミが増えたことを問題視した親同士の相談により、なんと3家庭で貸し借りするというルールが爆誕(笑)
単なるごみ問題とか節約の話でしたが、結果的に子どもたちはみんなでジャンプを読むことができました。
幼馴染みんなが話題に乗り遅れることなく、ジャンプの話で盛り上がることができたのは幸せな思い出です。
電子書籍だと、これができません。
まさかスマホごと貸すわけにはいきませんからね。
友達の部屋で、友達が2巻から、自分が1巻から同時に同じ作品を読むとかもできませんし…。
もちろん大人だって本の貸し借りが尊いコミュニケーションになり得ることだってたくさんあると思います。
そんな日常が好きな人は、紙の本がおすすめです。
目に優しい
わたしは専門家ではありませんし、紙の本と電子書籍のどちらが目に優しいかは賛否両論あります。
ただ少なくとも、Kindleなど電子書籍リーダーを使わずにスマホで電子書籍を読む場合は確実に紙の本の方が目に優しいでしょう。
同じ光でも直射と反射とでは、反射される光の方が目に優しいはず。
直射日光を見るのは言わずもがな、目に悪いですよね?
対して日光の反射である月光を見るのはなんだか癒される感じすらある…。
自ら光を放つ電子書籍が日光だとすれば、照らされてはじめて読める紙の本は月光?
そう思うと、なんだか紙の本の方がカッコいい気がしてきませんか?(笑)
余談ですが、実はKindle端末はフロントライト方式といって、光が画面に向かって照射されているそうです。
ですから読んでいる時に目に入る光は反射された光というわけですね。(スマホはバックライト方式。画面の後ろから照らすので、目に強い光が届く)
なので、目のことを考えると紙の本か、Kindle端末のどちらかが良さそうです。
安い
紙の本は再販制度によりセールがありません。
対して電子書籍は値引きすることができるので、安く購入することができるんですね。
ところが古本ならば紙の本の方が随分とコスパが良くなります。
ブックオフに行けば、一冊100円の本もゴロゴロありますし、図書館まで含めてしまえばタダですからね。
電子書籍にも無料本はありますが、多くは限定キャンペーンやインディーズ作品だったりします。
電子で新刊を買うより、紙で古本を買った方が安い場合も多々あるので、Amazonのみならずメルカリなどもチェックしてみると、お得に購入できますよ。
紙の本のデメリット
場所をとる
こればっかりはしょうがない!
例えば『こち亀』を全巻そろえたら、それだけでかなりの迫力ですよね(笑)
ただ「そこに存在している」とは、メリットと表裏一体。
厳選して所有しておけば、上手にメリットだけを受け取れます。
無秩序に本が増えるのを防ぐため、所有する本は10冊に限定し、入れ替え制を採用する人なんかもいるらしいですよ。
湿気が溜まる
わたしの感覚では本棚(とそこに並んだ本)があるだけで、湿度が5%から10%ぐらい上がるイメージ。
「そんなに違う?!」と思われがちですが、東京のワンルームだとけっこうシビアです。
そもそもを場所を取るうえに湿気まで溜め込むと、ボディーブローのように徐々に住みにくさを醸し出します。
劣化・破損する
だんだんとボロボロになってきますし、水に濡ればオワリ。
とは言え、まったく読めなくなるほど劣化することは稀ですし、そこまで長期保存したら逆に大したもの(笑)
また最近はペーパーバックが進化して、注文ごとにオンデマンドでそのつど印刷・製本される本も増えました。
古典もそのような技術により「デジタル保存→適時、紙で出力」といった読み方がスタンダードになってくるかもしれません。
「すべてが電子化され、紙で読めなくなる」という未来は、逆になさそうです。
紙の本と電子書籍の比較
メリット | デメリット | |
紙の本 | 記憶に定着しやすい カッコいい 人に貸せる 目に優しい 古本が安い |
場所をとる 湿気を溜める 劣化・破損する |
電子書籍 | すぐに買って読める 捨てなくて良い 新刊の単価が安い 場所をとらない |
サービス終了リスク 端末の電池切れ 装丁が画一的 |
紙と電子のメリット・デメリットをまとめると、おおむね以上のようになります。
基本的にどっちかにこだわる必要はないですね。
わたしは今のところ、
- 旬が早いビジネス本、マンガ→電子
- エッセイ、ノンフィクション、教則本→紙
といった感じで落ち着きました。
マンガは気に入った作品はなんども読むので、電子が安定。
表や図解、文字装飾が豊富で開きながら作業する教則本は紙がベターです。
電子だから、紙だから、本好きじゃない読書家じゃないってわけでもないです。
読書家で人気のカズレーザーさんは、今はほとんどが電子だそう(捨てなくてよいから)
逆に又吉直樹さんはやっぱり紙が好きだとか。
ご紹介したメリット・デメリットが、快適な読書ライフの参考になったらうれしいです!