サウナを描いた作品『サ道』の原作者タナカカツキさんのエッセイです。
「今、ブームのものは?」と聞かれたら、多くの人が「サウナじゃない!?」と答えるのではないでしょうか?
いろんなサウナ施設がオープンしていますし、各メディアでも日夜たくさんの情報が発信されています。
そのブームの先駆けになったのが、何を隠そうタナカカツキさんのマンガ『サ道』なんですね。
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今や日常会話にも登場するレベルで定着した「ととのう」というワードを広めたのも同作品。
『ととのいの果に』は10年前の『サ道』を発端にひろまったサウナブームから現在までを、まるっと振り返る内容になっています。
サウナまとめ+習慣化
タナカカツキさんはこれまで、
- エッセイとイラストの書籍『サ道』
- マンガ『サ道』
- 海外サウナを描いたマンガ『サ旅』
とサウナ関係の本を出版されています。
今回はそれらの内容をかいつまんで時系列でまとめれた内容が主です。
初出しなのは「サ道前夜」とか「『ととのう』の誕生」といったあたりでしょうか。
ブームの発端となったサ道の裏話は、サウナーなら思わず「へー!そうだったんだ!」と唸ってしまう。
エピソードを聞くだけで、なんだかいつものサウナもありがたみが増してくる。
余計にととのう気がする。
また後半はサウナと関連しつつ「習慣化」の話へとうつっていきます。
タナカカツキさんは2022年1月に『今日はそんな日』という、自身の習慣を紹介したマンガを発売。
そのマンガを補足する内容が多かったですね。
『ととのいの果てに』はもちろん、サウナ好きに読んでほしい一冊です。
もしサウナーじゃない人におすすめするとすれば、クリエイターかなと思います。
それも座って作業するタイプのクリエイター。
タナカカツキさんはある意味でサウナブームの仕掛け人であり、随所にモノづくりへのコダワリが見えてくる。
「習慣化」は言わずもがな、フリーランスで不安定なクリエイターにとってじぶんを守る薬のようなもの。
本書が10年にわたる話なだけに、全体をとおしてひとりの「クリエイター人生」が見えてくる気がしました。
それは同じ立場の人からすると、おおいに参考になると思います。
こだわりの装丁もポイント
本書では書籍『サ道』の装丁についての記述があります。
作り手の思いをどうやって読者に届けるか?
どうデザインに落とし込むか?
出来上がった装丁ひとつひとつのデザインに意味があって、とても興味深かったです。
そしてその部分を読んでから、改めて本書『ととのいの果てに』の装丁をみてみると、これまたコダワッている。
カバージャケットはもちろん、カバーを外した表紙がなんとフルカラー。
冒頭と巻末で違う色をもちいた見返し(通常は白紙の部分)。
中身もタナカカツキさんのイラスト(マンガ)が大きく1ページ使われていたり、なんとも贅沢な1冊になっています。
電子書籍でも発売されていますが、これはぜひ紙の本で購入してほしい1冊です。
本書では、サウナにハマった人がサウナの話を聞いただけで、ちょっとととのってしまう「もらいととのい」なんて話が出てきます。
こだわりの装丁のおかげが、本を読んでいる時わたしもずっと「もらいととのい」していました(笑)
リラックスしてたのしく読める1冊なので、ぜひ手にとって見て下さい。