まずこのタイトル、カッコよすぎませんか!?(笑)
それに表紙のデザインもイイ。
なんだかロマンチックで、夢を感じさせる表紙とタイトルです。
ところがその内容は極めて現実的。
夢を見るってことは、現実と戦うことなんだと、まざまざと見せつけられます。
ちなみに帯コメントに「ミニマルライフ」とありますが、これは日本で言う「ミニマリスト」とはちょっと違いますね。
モノの多い、少ないとか収納術がどうのこうのっていう話ではありません。
どちらかというと「オフグリット」に近い話です。
オフグリットとは送電網(グリット)から離れた(オフ)生活のこと。
つまり電気やガス、水道をなどエネルギー自給自足する生活です。
この本には3つの家族が登場するのですが、その程度はあれど、みんなオフグリットを志向しています。
環境破壊、戦争、差別、格差…。
この世界は「壊れた世界」だという認識のもと、グッドライフ=あらゆるものにやさしい暮らしを探す人々を、著者のマーク・サンディーンが取材した本になっています。
わたしはある種の敗北感とともに、好感をもってこの本を読み終えました。
愛することだけ考えて、それでも誰かを傷つける
わたしはこの本をAmazonで買い、StarBucksで読み、ブログで紹介した。
登場人物たちからすれば、それはあまりにも矛盾に満ちていて、滑稽極まりない行為です。
彼らはインターネットを明確に否定しているし、スマホを使っている人はひとりとしていません。
もし今、彼らがわたしの目の前にいて、その矛盾を指摘するなら、わたしは敗北せざるを得ないでしょう。
けれど一方で、誰しもが彼らのようなグッドライフを送れるわけではありません。
例えばわたしは幼少期、体が弱く、なんども入院したことがあります。(まぁ、だいたい一泊二日なんですけど)
もし医療がない社会だったら、死んでいてもおかしくなかったはずです。
かなり早い段階から、わたしは「文明人」でした。
生まれ持ったわたしの「弱さ」をカバーしてくれたのはたしかに文明だったのです。
彼らのグッドライフには、ある種の「強さ」が必要だと思います。
だからその暮らしを強要することは、強者の理論になってしまい、かえって多様性の排除に繋がってしまう。
わたしも、ことさらに敗北感を感じる必要はないのでしょう。
敗北の怒りと悔しさは、人にファイティングポーズをとらせます。
「彼ら」と「わたしたち」をまったく別の人種と捉え、わかり合うことを拒否してしまう。
実はこの本の一部には、そんな戦いの理論に導く「強さ」がたしかに存在しています。
しかし、実は登場人物たちもまた、それぞれが「弱さ」を持ち、矛盾に悩んでいるのでした。
もっとも急進的な暮らしをしているイーサンとサラも、激しく葛藤しながらも妊娠・出産時は車を使い、医療のお世話になったりする。
その他の人物も、適時「文明」を取り入れなければ暮らしていけない現実に直面します。
しかしわたしには、その悩み苦しむ姿がとても誠実に思えるのです。
わたしは「ヤケクソ」「ぶっちゃけ」「開きなおり」そんな態度に魅力を感じません。
愛には憎しみを、喜びには悲しみを、両方持つ姿が人間らしいと思うからです。
わたしの好きなTHE BLUE HERTSの歌にこんな歌詞があります。
愛することだけ考えて それでも誰かを傷つける
そんなあなたが大好きだ そんな友達が欲しかった
−ながれもの
登場人物たちはわたしにとって、「そんな友達」です。
実際に彼らは、友人や家族としばしば衝突します。
きっと今、わたしが感じている「敗北感」を、まわりの人々も感じたのではないでしょうか。(そしてお互いにファイティングポーズをとってしまう)
地球には優しいけれど、これがあんがい近しい人には優しくかなったりもする(笑)
わたしも友達にはなれても、家族になれそうな気はしません(笑)
でも、矛盾を見てみぬふりせず、「愛することだけ考えて」を続ける彼らのことは、なんだか大好きなのです。
まるっきり「文明人」のわたしも、彼らのように矛盾のなかに身を投じて、じぶんなりのグッドライフ探したい。
だからわたしは文明暮らしの中で、この本を紹介する矛盾を、大事にしていきたいと思います。
この本は読み手を矛盾の中に放り込み、ある種の苦しさを醸し出します。
登場人物も多く、400ページ以上のボリュームがあるので決して読みやすい部類の本ではないです。
その意味では、あまりかんたんにおすすめできる本ではないと思います。
けれど、興味ある人は読んでみてほしいですね。
わたしも1ヶ月半ぐらいかけて、ゆっくりゆっくり読みました(笑)
ぜひ手にとってみてください!
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