これは素晴らしい本でした!
刊行されたのはなんと1895年。
今から120年ぐらい前になります。
そのタイトルのとおり、簡素=シンプルでミニマムな生き方について書かれた内容です。
まだ「ミニマリスト」という言葉もなかった時代、そして今ほどモノが溢れていなかったであろう時代。
そんな時代にあっても、すでにモノや情報に対して、明確に憂いを表明しているのがこの本です。
100年前からモノも情報も煩わしいと感じていた人がいたんですから、現代人はさらにそう感じていてもしょうがないかもしれません。
その意味で、この本は現代を生きるわたしたちにこそ、刺さる言葉がたくさんありました!
名言だらけ
簡素さ、シンプルさを重んじる著者の言葉はやっぱりシンプルでストレート。
時に厳しいと思えるほどものごとを言い切り、読み手の心に突き刺してきます。
ちょっとネタバレになりますけど、この部分なんかまさに現代人が肝に銘じなければいけないこと。
一人ひとりが自らを監視し、余計ないことを言わず、文章を推敲し、簡素な表現をすることが緊急に求められています。思わせぶりな言い方、もってまわった言葉、故意の言い落としはや逃げ口上はもうたくさんです。それはすべてをいっしょくたにする以外のなにものでもありません。p75 簡素な言葉 言葉を操るほど信頼がなくなる
この一文に、現代のSNSにはびこる「煩わしさ」の理由がすべてが入っていますよね。
匿名をよいことに自らを監視せず、余計なことばかり言い、文章を省みることはない。
なにかにつけて思わせぶりで、もってまわって、故意の言い落としや逃げ口上ばかり。
そうやって言葉に対してテキトーでいることは、すべてをいっしょくたにすることといっしょだと。(つまり何も言っていないのと一緒だと)
飾られた言葉は実際は何も言っていないのと一緒なのだから、SNSをやっていて妙な空虚さに襲われるのも、ある意味で当たり前のことなんですね。
その他にも、アンダーラインを引きたくなるような名言がたくさんあります。
ここまで刺さる言葉が多い本は、近年ちょっと読んでなかったですね。
簡素の意味
この本は単に「モノを減らそう」というミニマリストの本ではありません。
通ずる部分は多々あれど、本書が言う「簡素」はさらに深い意味を持ちます。
わたしが読むに簡素とは、「余計なモノを排除して、与えられた善を淡々と行使していくこと」だと思いました。
その「与えられた善」のことを本書では「掟」と表現しています。
人は誰しもひとりひとりが違う。
だからこそ、わたしたちは人と比べてしまいます。
でもほんとうに大事なのは、人と比べることじゃなく、じぶんに与えられものをしっかりとこの社会で働かせることですよね。
新聞から見える遠くの世界に気を取られてばかりではダメで、目の前に与えられものを大切にしなきゃ。
わたしはこの本から、そんなメッセージを受け取りました。
本書でいう新聞は、現代ではまさにインターネットとスマホに読み替えることができるでしょう。
これは現代の「ミニマリスト(ミニマリズム)」はおろか、「マインドフルネス」なんかにも通ずる部分だと思います。
おそらくミニマリストはその生活を極めていくと、本書で言う簡素さにたどり着くのではないでしょうか。
逆に言うと、この本から簡素さを学び、それを現実に行使していくと、その姿はまさにミニマリストになっていくでしょう。
過度にボリュームがあるわけではなく、意外と読みやすい本書。
たぶん、ミニマリストじゃない人でも、目次を読むだけでドキッとする言葉があるんじゃないかな?
そのぐらい普遍性のある本だと思います。
他にもある!おすすめミニマリスト本まとめ
その他にもミニマリストが書いた本、ミニマリズムを学べる本をまとめてあります。
ミニマリスト入門書から、マニアックなドキュメントまで。
「ミニマリストなりたい!」
「いろんなミニマリスト参考にしたい!」
と考えている人は、ぜひごらんください。
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