『スマホ脳』で日本でもベストセラー作家になったアンディ・ハンセンの本です。
ストレス、不安、うつなど負の感情について書かれた内容になっています。
注意点はそれらの「治し方」ではなく「捉え方」を書いていること。
日常生活を送れないぐらい強いうつ症状に悩まされている人が、これを読んで即時回復するというシロモノではありません。(そんな本は存在しませんが)
本書でも、強いうつにはは受診が勧められています。
しかし、「捉え方」を知ることで、前向きな効果はあるようですよ。
「不安」も「うつ」も脳の正常な反応
負の感情、とりわけ「うつ」になると、「じぶんは異常だ、壊れている」と思いがちですよね。
ところが、負の感情はあくまで脳が正常に反応した結果であると著者は説明します。
わたしたちの脳は、太古の昔より進化していない。
太鼓の昔とはつまり、食べ物が貴重で、常に外的の危険にさらされており、感染症や殺人、飢餓が死亡の主たる原因だった時代です。
脳は未だにその前提で反応しており、人類が現代の恵まれた環境に生きていると知らない。
脳だけが原始時代からタイムスリップしてきたようなものでしょうか。
例えば、わたしたちは「うつ」をたんなる感情と問題だと捉えがちです。
しかし脳からすると、「うつ」 になるのは別の理由があると。
さっき言った通り、原始の時代では感染症が主たる死因のひとつでした。
感染症のリスクが高まる時、それは外傷を負ったときです。
だから外傷を負うと、直ちに脳は危険だと判断しストレスを発生させ、わたしたちを引きこもらせるために「うつ」的な感情を作り出す。
脳はひたすらに「生き延びる」ための判断を下していると言います。
何から生き延びるためかと言うと、それは感染症や殺人、飢餓からなんですね。
脳は癌や心筋梗塞、脳卒中など現代の主たる死因に想定しているわけではないんです。
なぜなら原始の時代では、そんな病気が発症する年齢になる前に多くの人が亡くなっていたから。
しかし現代では、それらの死因で亡くなる人は劇的に減っており、わたしたち自身もその危険性を自覚していないはず。
実は今を生きるわたしたちのストレスの多くは、脳が「それは感染症や飢餓のリスクだ!」と勘違いした結果起こると。
だから、予想だにしない「不安」や「うつ」に襲われる。
脳とわたしたちの意識とでは、認識のズレがあったというわけです。
このズレを解消することを本書は目指します。
正しい認識をすることで、「不安」も「うつ」も少なからず軽減されるのではないでしょうか。
助けられました
なんの偶然か。
わたしはこの本を読み始めた頃、ちょうど失恋しました(笑)
強いストレスです(笑)
本書を読む限り、けっきょく、人間関係のストレスは「群れから外れる」ことに由来しているよう。
群れから外れると、食べ物にありつける可能性が減り、外敵から実を守ることもむずかしくなる。
それは死に直結しますから、脳はストレスを発生させ、なんとか群れに留まるよう促す。
おそらく恋愛でフラれるなんてことも、群れからはぐれることに似ていますよね。
しかし現代では、フラれたぐらいでは現実として死に直結しません(笑)
フラれても食べ物は失わないし、外敵から襲われることはないからです。
だからイメージとしては「そんなストレスいらないよ、今は安全だよ」と脳を再教育してあげるような心持ちでいると良い感じでした。
気休めのようにも思いますけど、そういった客観的な認知はストレスや不安には侮れない効果があるように思います。
あくまで個人の実感でしかないですけど、わたしはそのように感じました。
また本書で説明されている「運動」の効能もしっかり実感しながら、確実に実行していくと、やはりそれなりに効果はあるような気がします。
少なくとも、本書が主張するような生物学的な由来から「不安」や「うつ」を理解することで、「じぶんはダメなヤツだ…」と言ったような無下にじぶんを攻める態度が軟化するのではないでしょうか。
読みやすく、わかりやすい本
脳科学と言うとむずかしそうですが、さすがベストセラー作家の本。
まるで著者のYouTube動画やTEDトークを見ているかのように、わかりやすい語り口です。(翻訳者の腕も素晴らしいのだと思います)
また根拠となるいくつかの論文が引用されていますが、具体的な数値までは(おそらく意図的に)言及しておらず、結論をサクサクと述べていきます。
だからスピーディに話が進むので、とても読みやすい。
「不安」や「ストレス」、「うつ」に悩まされている人が真剣に読むのも良いでしょうし、見方によってはけっこう人に喋りたくなる雑学っぽさもありますね。(ホンマでっかTVみたいな)
テーマに普遍性があり、とても読みやすい多くの人におすすめできる1冊だと思います。
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