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溢れる情報の対策が書かれた『積読こそが完全な読書術である』書評レビュー

積読こそが完璧な読書術であるの表紙

永田希さんの『積読こそが完全な読書術である』を読みました。

積読とは「読もうと思ってまだ読めていない本」や「読み途中の本」が貯まってしまう状態のことを言います。

一般的なネガティブな文脈で使われることが多く、なんとなく焦燥感にかられるような状態ですよね。

 

ところがこの本ではその積読をポジティブにとらえ、推奨しています。

本書では現代の情報環境を「情報の濁流」として、ただ漫然と情報を得ているだけでは、その濁流に飲み込まれてしまうと言います。

 

そこである種の防波堤としての積読が必要だと。

ですから、この本はまさに「どの本を読んだら良いかわからない!」という人や、逆に「疲れるから情報に触れないようにしている」という人にもおすすめです。

情報の濁流をふせぐための「ビオトープ的積読」

本書でおすすめする積読は「ビオトープ積読」と表現されています。

ビオトープとは小さな生物空間のことで、学校の裏庭などにによくある施設のことです。

ビオトープには自然界とは違う、穏やかでコントロールされた生態系があり、「ビオトープ的積読」とはまさにそのように人のコントロール下に置かれた積読のことを言うようです。

 

そもそも「情報の濁流」の中にいると、旧来の積読状態になるか、とにかくレコメンドされる情報を場当たり的に消費していくしかなくなります。

旧来の積読状態は焦燥感を生み、場当たり的消費は虚無感を生む。

いずれにしても楽しいはずの読書がストレスになってしまうような状態です。

 

そこで「ビオトーブ的積読」です。

まず本書では積読の焦燥感をとりのぞくため「積読してしまっても気にする必要はない」と言います。

っというのも、本は「積んだだけ」でもそれなりに意味を成しているからだそうです。

 

要は積んだだけでも、読んだことになる。 …???

なんだか矛盾のように思えますが、本書ではその根拠をさまざまな引用文献を用いながら、ていねいに解説しています。

 

そして積読することで、情報の濁流から一歩引いて、マイペースに読書できるというわけです。

 

「ビオトーブ的積読」の方法をごく簡単に言えば、

  • 自分のテーマに基づいて
  • 定期的にメンテナンスしながら

積読していくことです。(わたしの解釈)

 

本書ではビオトープという表現がなされていますが、わたしは川の「ワンド」のようなものかもしれないと思いました。

ワンドとは川の横に接続された沼地のこと。 増水時に水をため込んだり、生き物たちが休憩する場所のことを言います。

現代の流れを濁流と評すならば、本書で示させる積読はその濁流のそばに接続しつつも、ゆったりとした流れが生まれているワンドです。

 

または「自分による自分のための書店」のようにも思えます。

そもそも書店とは、出版社や取次から送られてくる「濁流」を受け止め、整理整頓し、読者を導く役割をもっているはずです。

それは「選書」と言われる役割でしょう。

 

ビオトーブ的積読は読むことを前提としておらず、そして書店員さんも全ての本を読んでいるわけではないでしょうから、その意味でも選書と積読と通ずる部分があります。

 

インターネットはメーカー(出版社)と消費者(読者)との距離を縮め、本が手元に届くスピードも速くなりました。

書店が中抜きされた結果、読者にとっては書店員さんが「選書」してくれるメリットがなくなったのかもしれません。

「ビオトーブ的積読」は書店が担ってきた選書の代替えにも思えました。

 

正確には(業界の構造的理由から)出版される本が年々増え続けているので、書店だけではさばくことができないくらい「濁流」が大きなものになっているようです。

よって書店の選書にプラスして、読者のビオトーブ的積読の2つのふるいが必要なのでしょう。

 

積読が読書術であるとは、読み始めた当初はかなり突飛な提案に思えます。

ところが読み進めていくと、「これは必要だ」「知っておいた方がイイ」と思いなおす結果になりました。

 

読書が好きな方はもちろん、「昔はよく本を読んでいたけど今は…」という人も読んで欲しい一冊です。

ビオトープ的積読以外に、情報の濁流に対抗する方法

本書では積読によって「情報の濁流」と対抗する術を教えてくれますが、わたしがもう一つその対抗手段を提案できるとしたら、情報の支流を取り入れることかなと思います。

 

情報が大量に、早く、流れていく本流が濁流だとすれば、そもそも穏やかでゆっくりした川の中に身を置くことも考えられる手段です。

例えば、年に10冊も刊行しない小さな出版社をベンチマークしておくこと。 小さな出版社は直販サイトで読者に直売りするなどの工夫で、濁流を生み出す業界のメカニズムとは距離を置いているように見えます。

 

また個性的な小さな書店に足を運んでみること。

そこには書店員さんの個性が爆発したビオトープがあるはずですよね。

 

情報が溢れる時代だったら、溢れる場所にはいかない。

これは例えば「スマホ依存だから、スマホを捨てる」といったような強硬かつ、消極的な解決策に思えます。

そして支流(=小さな出版社)自体も増えていますから、結局は濁流といったような情報過多になるかもしれません。

 

ただ自身の情報環境(いわばビオトーブ的積読)にオルタナティブな流通経路を確保することで、そこには多様性が生まれ、より豊かな生態系になるのではないか?と思うのです。

情報の支流を取り入れる。 『積読こそ完全な読書術である』と合わせて参考になったらうれしいです。

その他のおすすめ本はこちら↓ 

ぜひ積読に加えて下さい(笑)

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