以前から気になっていた吉祥寺にあるブックマンションという本屋さんに行ってきました。
ブックマンションはとても変わった本屋で、77人の店主が棚を分け合って、本を並べているのです。
アクセサリーを個人が販売するレンタルボックスの本バージョンと考えると分かりやすいと思います。
こんな感じでズラーっと並んでいます。
いやぁ、久し振りのお店オープンです。ですが、地下に差し込む日の光は暑く、お店前の通りは人の姿はまばらです、、
こんな日は家でガリガリ君片手にパソコンとにらめっこですかね。 pic.twitter.com/exkwGNqYv2 — ブックマンション(不定休→営業日をご確認ください) (@BookMansion) August 19, 2020
人が見える本棚
やっぱり面白いのは棚に人となりが見えるところですね。
出版社の棚があったり、同人作家の方の棚があったり、カープファンによるカープ本の棚があったり…。
中でもユニークだったのは、なんと小学五年生が作った棚!
10代からモノを売る経験をするのは、とても良いことだなぁと思います。
わたしはピクニックをテーマにまとめられた本棚から2冊ほど購入しました。 数年前から公園ピクニックにハマってるんですが、いまいち地味な趣味ですよね…。
っと思っていたところに同じ趣味の人を発見して嬉しくなってしまいました。
今、書店は店主の色があり、個性がある店が求められていますよね。
ブックマンションは一箱という狭い中に店主ひとりひとりが独自の世界観を作っているので、個人経営の書店よりもさらにニッチなジャンルが力強く表現されていておもしろいです。
コミュニケーションが生まれる場だった
「配属先が決まったんです」そう報告してくれたのは、大学を卒業し入社直後の4月にお店を訪れてくれたお客さん。上司でも親でもないですが、なんだか嬉しかったです。小さい頃、近所の駄菓子屋のおじちゃんが僕を気にかけてくれていた気持ちがちょっと分かりました。またふらりと立ち寄ってほしいな。 pic.twitter.com/x7jUrg22DD
— ブックマンション(不定休→営業日をご確認ください) (@BookMansion) August 8, 2020
今回、わたしが足を運んだ時はオーナーの中西さんが店番をやってらっしゃいました! 気さくに話しかけて下さり、ブックマンションのことやおもしろい棚たちを紹介してくださいましたね。
ブックマンションには、よくゲストハウスなんかにあるような「来店記念ノート」があるのですが、そこに書かれたメッセージの裏話を教えて下さったり…。
中西さんは平日の昼間とか、余裕がある時はお客さんと会話されることも多いそうです。
そしてそのコミュニケーションにとても魅力を感じていると。 なんならお話目的かと思われるお客さんも多いそうですよ(笑)
考えてみると、今ブックマンションで生まれているような「偶発的なコミュニケーション」は少なくなっているような気がします。
マッチングアプリとか「出会いのための出会い」「コミュニケーションのためのコミュニケーション」は世の中にたくさん溢れていますよね。
ところが、生活の中で、待ちの中のふとした場所で知らない人と出会い、人間関係が広がっていくようなことは起きにくくなっています。
その時ブックマンションに偶然居合わせた女性のお客さんがおっしゃってました。
「昔あった個人経営の書店は店主と気軽にお話することができた。今のオシャレな大型書店ではなかなかない」
ブックマンションのやり方なら、開店中は付帯業務が少ないので、コミュニケーションがとれる余白があるのかもしれません。
現代の「仕事」は、その余白が少なくなってしまったのかもしれませんね。
人間を機械のように扱えば、そこにコミュニケーションは必要ないでしょう。
しかし人間は機械ではないので、コミュニケーションを求める。
結果、「コミュニケーションのためのコミュニケーション」を"買う"必要性が出て来てしまう。
それはそれで良いのかもしれませんが、わたしにはそれが「コミュニケーションの機械化」にも思えます。
ひるがえって、初めから仕事の中にコミュニケーションをとれる余白を準備しておく方が健全でしょう。
さらに今、コロナ渦であらゆることのオンライン化が進んでいます。
ますます「意思をもたないと人と出会えない状態」へと近づいているようで、便利さを感じながらも一抹の寂しさを感じますね。
ブックマンションにあった「偶発的コミュニケーション」は逆に人々に求められているのかもな、とも感じました。
ただこれは難しいところで「誰かに会える本屋!」と銘打ってしまうと、今度は出会い目的の人が増えて偶発性のおもしろさが減退してしまうでしょう。
あくまで場所があり、本があり、そこに人が来て、何かが起こる…というのが素敵じゃないかなぁと思います。(単にわたしの想いですが)
ですから、この記事を読んでブックマンションに興味があった方は必ずしも中西さんとお話しできると思っていかないでくださいね(笑)(実際、忙しい時もあると思いますし)
ただそれもぬきにしても、ブックマンションはおもしろい場所です。 Amazonや楽天ではなかなか出会いづらい本に出会えると思います。
吉祥寺駅から徒歩5分ほど。 ぜひ遊びに行ってみて下さい。
ちなみに1階のコーヒースタンドや2階、3階の店舗(イベントスペース)はコロナの影響もあり、現在は不定期の営業とのこと。
営業日、営業時間などもフレキシブルに変わっていくでしょうから、足を運ぶ前には公式SNSをチェックするようにしてください
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