「トレンドに左右されず、じぶんらしいファッションを楽しみたい!」
ファッション業界はアイテムも情報量も多く、特に「トレンド」って難しいものですよね。
毎年いくつも提案されるトレンドをすべて真に受けていたら、クローゼットがいくつあっても足りません。
そこでこの記事では、
「トレンドを正しく認識して、ポジティブに楽しむ方法」
をご紹介します。
ファッションの「トレンド」とは?
ファッションにおけるトレンドとは「流行」よりも「最先端」といった意味合いが強いです。
最先端ですから、トレンドファッションとは実は流行る直前の装い。
完全に流行しきった「誰もが着ている服」をあえてトレンドとは言わないわけです。
これはおしゃれが差別化をベースにしているため。
人からおしゃれに思われるには、
「あの人、ちょっと違うな」
と思われるのが大事です。
皆一様に学校の制服を着ている状態では、誰がオシャレかわかりませんよね。
そこで差別化=トレンドが必要になります。
トレンドは一部のファッション業界人から発信され、それがファッション好きの間に受け入れ、そのあとで一般層にまで広まる。
一般層に広まったあたりでトレンドはブームへと変わり、そうなるとファッション層はまた差別化をもくろんで、新しいトレンドを取り入れます。
なので、俯瞰してみるとひっきりなしに発信しているように見えるのが、トレンドというわけです。
トレンドは取り入れるべき?
他人から
「なんか古い、懐かしい」
と思われないためには、取り入れたほうが良いでしょう。
デビューして間もない頃の嵐を思い浮かべてみてください。
スキニーボトムスにトップスもタイトで、さらに深めのVネック。(ついでに言うと長い襟足)
自然と「懐かしい〜」と感じるのではないでしょうか。
対して2022〜23年頃のKing & Princeのミュージックビデオを見ると、みんなユルッとしたビッグシルエットの服。
今、テレビで嵐のメンバーを見ると、やっぱりユルッとした服を着ています。
このようにファッションが移り変わっていくのは、トレンドがブームに変わり、ブームがやがてベーシックへと変わっていったから。
トレンドはベーシックの卵だと考えると、やはりほどよく取り入れたほうが良いでしょう。
しかしその「ほどよく」がむずかしく、どれを知って、どれを取り入れるべきか迷うことが多いです。
そこでトレンドを、
- レベル
- 種類
の2つの軸で分解して、一般層はどのトレンドを気にしておくべきか整理してみます。
トレンドにはレベルがある
経済の世界でよく用いられるキャズム理論。
これはファッショントレンドを説明するうえでも応用できます。
実はファッション層(アーリーアダプター)の間で受け入れられるトレンドが、すべてキャズムを超えて一般層(マジョリティ)に広まるわけではありません。
キャズムを超えず、ファッションを趣味や仕事にしている人の間だけのトレンドも多数存在します。
いわばファッション好きむけのハイなトレンドと、一般層にまで広まるローなトレンドが存在する。
これが案外、ファッションメディアではごちゃまぜになって発信されているんですね。
「トレンドに振り回されてストレス…!」
という人がキャッチすべきトレンドは、当然ローなトレンドです。
例えば2024年現在で一部のセレブの間で話題になっているハイなトレンドがノーパンツルックだそう。
ボトムス(ズボン)を履かず、水着やスパッツのようなもので街を歩く。
率直に言って、一般人にはむずかしいですよね(笑)
これはおそらくキャズムを超えないでしょう。
対してキャズムを超えたトレンドとして、
- ビッグシルエット
- ワイドパンツ
- カーゴパンツ
などが挙げられます。
これらはファッションにそこまで興味がない一般層も積極的にチャレンジしてよい装いになっています。
また周りからも抵抗感なく見られることが増えているのではないでしょうか。
トレンドには種類がある
トレンドは、
- シルエット
- 色・柄
- 素材
- アイテム
といった切り口でそれぞれ語られます。
「今年のトレンドカラー」なんかはよく聞きますよね。
素材はデニムやレザー。
アイテムとしてはカーゴパンツやトラックジャケットなどがトレンドとして語られるのを見たことがあるかもしれません。
そんな中、最も重要視すべきなのはシルエットのトレンドです。
なぜならシルエットが最も古さや懐かしさを感じるものだから。
色に関してはベーシックカラーが決まっており、それが10年後にダサくなるとは考えにくい。
※ベーシックカラーは一般に白・黒・グレー・ネイビー・ベージュ
また素材に関しても、10年後「コットン100%を着ていたらダサい!」とはならないですよね。
アイテムに関しては判断がむずかしく、一過性のものから意外と長く続くものまで様々です。
わたし自身は、
- シルエット→積極的に意識する
- 色・柄→ほぼ無視(ベーシックカラー重視)
- 素材→ほぼ無視
- アイテム→興味があるものだけ
といった具合。
そしてシルエットは重要度が高いにも関わらず、変化がゆっくりです。
今はビッグシルエットですが、来年いきなり極端なタイトに振れることはまずありません。
なので、そこまでファッションに興味がない人も、キャッチアップしやすく取り入れやすいトレンドになっています。
一般層が取り入れるべきトレンドまとめ
- キャズムを超えた
- シルエット
この2つが一般層にとっても取り入れやすい(取り入れるべき)トレンドだと言えます。
この2つに絞ると、日夜大量に発信される「トレンドアイテム」や「トレンド情報」を選別して、じぶんにあったものを取り入れやすくなる。
もちろん、ハイなトレンドに挑戦するのもアリですし、毎年のトレンドカラーをたのしむのも一興。
そこに良いも悪いもありません。
ただ重要なふたつのトレンドを抑えることで土台ができ、振り回されなくなることは確かだと思います。
では、そのふたつの重要なトレンドはどこで見つけられるのか?
どうすれば取り入れることができるか?
以下から具体的な方法をご紹介します。
【実践】トレンドをほどよく取り入れる習慣
ユニクロをチェックする
ユニクロはLifeWear=普段着を作っているブランドであり、押しも押されもせぬ一般層向けのブランドです。
つまりハイなトレンドアイテムだったものをユニクロが発売したタイミングが、ハイからローに広まっていく合図。
ユニクロはトレンドアイテムを慎重に取り入れ、一般層にも抵抗感がないようにデフォルメすることが多いです。
例えばユニクロでワイドパンツと名付けられた商品も、価格帯の高いブランドのワイドパンツより随分と細かったり。
それはファッション層からすると物足りないものですが、一般層からするとちょうど良いということになります。
ユニクロはトレンドにおける炭鉱のカナリヤとして、ひとつの目安になるでしょう。
またユニクロ店舗のマネキンやオンラインストアの公式スタイリングをチェックするのもおすすめです。
それらを見ることで、
「このトレンドのボトムスは裾にクッションをいれるんだな」
とか
「モックネックTは重ね着で使うんだな」
といったような実際の着こなしを知ることができる。
「トレンドだから、これさえあればオッケーだ!」と急に1着だけ買っても上手くいかないことが多いです。
それがトレンドになるには理由があり、全体のコーデや着こなしがその理由に沿っているほうが望ましいからです。
マネキンや公式スタイリングからその理由を知り、バランスの取り方を学ぶことができるので、ときどき店舗を散歩するのはおすすめです。
3年を目安に服を手放す
「トレンドに沿ったアイテム」は毎年発売されています。
ですから潔く買い替えていけば、それなりにトレンドにあった装いになるはず。
極端な話、3年おきにユニクロで全部買い換えれば、半自動的にその時代にあった装いになると言えます。
とは言え、3年に1回しか買い物しないのはリアルじゃない。
大事なのは適時、手放すことだと思います。
同じ服を長く着るのは素敵なことです。
しかし「オシャレ」を考えると、
- 10年同じ服を着る
- 毎年トレンドにのる
のは方向性は逆ですが、同じくらい難易度が高い。
10年同じ服を着るとは、例えるなら
ブランド古着から今のトレンドに合った服をピックアップして着こなす
といったレベルに近い。
それ自体、かなりファッション感度の高い買い物ですし、むしろトレンドに対する深い理解が必要になってきます。
より一般的なファッション感度で服を楽しむには、より中間的な「適時、手放す」という習慣がより現実的ではないでしょうか。
心地よいレベルを見つけよう
ユニクロよりGUやZARAの方がトレンド感が強くなりますし、セレクトショップのオリジナルとかドメスティックブランドになれば、さらに差別化のきいた服が増えていきます。
「ユニクロをチェック」「3年で手放す」といった習慣をベースにトレンドを眺め、ある程度理解が進んだら、あとは個々人の趣味に合わせてレベルを調整する。
そしてどのレベルで留まろうとも、そこに良いも悪いもないのだと思います。
「トレンドが多すぎて訳が分からない…」
それは確かに、わたしも心当たりがあります。
一方でバリエーションを持って、さまざまな装いを楽しむのもファッションの醍醐味であることは間違いありません。
トレンドはバリエーションを教えてくれる存在でもあります。
ぜひほどよい良い付き合いをしてみてください。