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『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』を読みました。ミニマリストのオールスター感謝祭だった!

消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神の表紙

橋本努さんの『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』を読みました。

そもそもミニマリズムに傾倒しているわたしにとって、この本はすごくおもしろかったです。

 

そのタイトルからわかるように、内容は学術的で、ちょっとむずかしい。

小難しい言い回しも多いです。

 

ですから誰それ構わずおすすめするタイプの本ではないように思います。

でも、あなたがもしミニマリズムの実践者(ミニマリスト)であるならば、読んで見る価値は多分にあるでしょう。

 

また最近いろんなメディアでよく話題になる「脱資本主義」に興味がある人にもおすすめです。

あ、ちなみにこれを読んでも部屋は片付きませんよ(笑)

 

ミニマリズムが現代の資本主義を変えていく可能性を探るという内容です。

「こうしたら片付くよ」などと実践的な話ではありません。

 

その一方で、ほんとうにたくさんのミニマリストが紹介されています。

 

わたしはミニマリストマニアみたいなところがあるので、ほとんどの人の名前をしっていた、または著書を読んだことがありました。

しかしなかには知らない人も。

 

なので、「これからミニマリストなる」みたいな段階の人より、ある程度じぶんで実践した人がさらにミニマリズムについての見識を広げるために読むと、かなりおもしろいと思います。


消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神


『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』の概要

第1章から第4章

序盤は幅広い解釈が可能なミニマリズムをさまざまな概念を補助線にしながら分類し、その輪郭を浮かび上がらせる考察が続きます。

 

ミニマリズムが生まれた歴史的な背景や類似する概念との比較。

保守的な概念に帰するミニマリストや逆に資本主義的な成功の手段としてのミニマリストなど、ミニマリストの分類分けも試みられています。

 

しばしばミニマリストは「ミニマリズム論」を戦わせることでケンカしますけども(笑)、ここまでを読むと、ミニマリズムという概念の懐の深さを感じさせますね。

第5章

第5章では、怒涛のようにミニマリストたちが登場します。

ミニマリストの大運動会!

 

ブロガーから作家、歴史的偉人まで。

彼ら、彼女らの実践を考察しながら、すこしずつミニマリズムの効能や精神性を明らかにしていきます。

 

ここはわたしも影響を受けた人たちがたくさん紹介されていて、なんだかニヤニヤしながら読んでしまいました。

 

ミニマリストたちがなぜそこに至ったかは、それぞれで違います。

わたしはミニマリストたちの本を読むなかで、微妙な違いと共通点を感じ取っていたものの、それらを明確に整理するには至っていませんでした。

 

この本では、

  1. 幸福になるための実験
  2. 保守回帰
  3. 脱資本主義的な自己実現
  4. 自己との和解

として、ミニマリズムの実践を分類しています。

 

ミニマリズムは手段と目的が混在し、また手段にも目的にもいくつものパターンがあることから、読み解くのが非常にむずかしい概念です。

 

このように分類分けがなされることで、自分自身がどのようにミニマリズムに取り組んできたか、復習になると思います。

 

その答えは一概ではなく、例えばわたしなら「脱資本主義的な自己実現」にはじまり「自己との和解」に至り、今は「幸福になるための実践」として継続しながら「保守主義」はいくばくか取り入れている、といった感じです。

 

わたしがミニマリズムに興味を持ち出したのは、自分がやっていた音楽活動がきっかけでした。

言わずもがな、音楽で生計を立てるのはむずかしい。

 

それでも音楽活動の時間を最大化するためにどうすればよいのか考えたとき、出会ったのがミニマリズムでした。

つまりそれは脱資本主義的な自己実現と似ています。

 

結果的に、わたしは音楽(趣味・自己実現)とお金(仕事)とのジレンマから開放される中で「自己との和解」に至ったように思います。

それは「これで良いんだ」とじぶんを許せる感覚した。

 

この5章を繰り返し読むだけでも、ミニマリズムに対する理解が深まるように思います。

第6章、第7章

第6章はミニマリズムと禅について。

かの有名なスティーブ・ジョブズも登場。

 

第7章はいよいよ脱資本主義について。

脱資本主義を唱えるいくつかの論を紹介ながら、そこにミニマリズムがどのように類似しているか、また貢献するのかを考察していきます。

『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』を読んだ感想

以上、かけあしで内容を紹介しました。

全体を読んだ感じたことは「ミニマリズムっておもしろい!」と素朴な思いです。

 

ミニマリズムは「実践」が必ず含まれる概念ですよね。

モノを捨てる、減らす、吟味して買う。

 

それらの実践がミニマリズムの大前提としてあります。

逆に「脱資本主義」とは、多くの場合、学術的な理論にとどまります。

 

それは政策、経済に影響を与えるにせよ、わたしたちの生活レベルで実感するまで浸透に時間がかかります。

 

それは時に「机上の空論」として批判されがちでしょう。

しかしミニマリズムに脱資本主義が紐づく可能性を示唆することで、より現実的に世界を変えていける可能性が大きくなります。

 

わたしはミニマリズムはインターネットの空間の中でミーム的に広がって定着していったボトムアップの概念であるように思います。

おばあちゃんの知恵袋、ではないですが、市井の人々の知恵であると。

 

対して「脱資本主義」とはエリートが紡ぎ出した概念です。

いわばボトムダウンの概念。

 

そのふたつ概念を混ぜ合わせて再構築したという点で、この本が果たした役割は極めて大きのではないでしょうか。

 

大局的な理念(ボトムダウン)と現実的な実践(ボトムアップ)を照らし合わせることで、ミニマリズムが単なる流行り言葉ではなく、未来への一歩として有用なものである可能性が示唆させれました。

 

これはなんだかすごく勇気が湧いてくる考えです。

 

そしてまた、これ以上にミニマリズムを網羅的にまとめた本をわたしは読んだことがありません。

ミニマリストを自称する人でも、知らなかったタイプのミニマリズムを知る切っ掛けになるのではないでしょうか。

 

ミニマリズムの幅の広さ、脱資本主義と紐づけることの深さ。

それらが合わさることで非常に懐の深い本になっていると感じます。

 

おそらく未来に生きる人たちはミニマリズムを進化させようとするなかで、この本が大きな足がかりになるでしょう。

その意味で、5年後10年後にまた輝きを増してくる本だと思います。

 

ぜひ多くの人に読んでほしい1冊です。


消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神


 

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